阪大ら,露光でマイクロロボットをその場製造

大阪大学,北陸先端科学技術大学院大学,岐阜大学は,マイクロ流路内でマイクロロボットの部品をプリント成形し,その場で組み立てることに成功した(ニュースリリース)。

マイクロロボット,特に柔軟な構造を持つロボットは,生物医学などの分野で非常に幅広い応用の可能性があるものの,アクチュエータなど様々な機械部品を組み込むことは困難で,高機能化の障害となっている。

従来,機械構造やアクチュエータなど,マイクロロボットの様々な部品を異なる場所で製造し,一つ一つ組み上げていくピック アンド プレースアセンブリによってマイクロロボットがつくられていた。この方法は時間と労力がかかり,また多くの制限があることが課題となっている。

研究では,自然界の生体内システムの自己組織化プロセスに着想を得て,2021年に発表したプリント可能な生体分子モーターからなる人工筋肉に基づき,ロボット部品をその場で加工・組み立てしてマイクロロボットを製造する方法を開発した。

マイクロ流路内で,マスクレスリソグラフィーにより,ハイドロゲル材料の機械的構造をプリントし,次に生体分子モーターからなる人工筋肉がハイドロゲル機構の狙った位置に直接プリントすることで,機構を駆動して目的の仕事を実施する。これにより,マイクロロボットを迅速に次々と生産することができる。

また,マイクロロボットに新しい人工筋肉を再プリントすることにより,アクチュエータを迅速に動的再構成し,複雑な仕事を行なうマイクロロボットを実現した。

さらに,生きた筋肉細胞を用いるアプローチとして注目されている細胞ハイブリッドロボットにおいて,設計の柔軟性を向上させながら,製造プロセスを大幅に簡素化することにも成功した。細胞ハイブリッドロボットは,柔軟性が高く,環境負荷が低いという利点があるものの,筋肉細胞の培養に数日かかるという問題があった。

今後のオンチッププリンティング技術の向上や人工筋肉の性能向上により,現在の細胞ハイブリッドロボットのボトルネックを打破し,実用化に向けた一歩を踏み出すことが期待される手法だとしする。

今回の成果により,マイクロロボットの組み立てやマイクロソフト機構のオンデマンド生産が可能になったという。研究グループは今後,様々な機能を付与したマイクロロボットがオンチップ上で連続的にオンデマンド生産することが可能になり,化学エネルギーだけで駆動する超小型マイクロロボットが健康医療応用など様々な分野に展開,波及していくことが期待できるとしている。

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