早大ら,竜脚類恐竜の食性をレーザー顕微鏡で解明

早稲田大学,久慈琥珀博物館,東京大学らは,岩手県久慈市の久慈層群玉川層(中生代白亜紀:約9000万年前)から発見された巨大恐竜(竜脚類)の歯の表面に保存された微小磨耗痕(マイクロウェア)を詳細に分析し,その形状を現在のトカゲ類と比較し,竜脚類が植物を食べていたことを明らかにした(ニュースリリース)。

久慈琥珀博物館の琥珀採掘体験場および隣接する化石凝集層(ボーンベッド)からは竜脚類やティラノサウルス類などの恐竜の歯化石,カメ類やワニ類の骨格など30種類前後の脊椎動物化石が2022年3月現在で2600点以上も発見されており,日本の恐竜時代(中生代白亜紀)の生物相を解明するための重要な地域となっている。

これまで,この地域からは,多数の竜脚類恐竜の歯の化石が発見されている。竜脚類は史上最大の陸上生物を含む恐竜の分類群であり,植物食と推定されてきた。しかし,現在竜脚類恐竜に似た形態をした動物はおらず,植物食とする確かな証拠はなかった。

歯には食物によって顕微鏡レベルの微小な磨耗痕(デンタル・マイクロウェア)ができる。今回,保存の良い久慈産の竜脚類の8本の歯化石に残されたデンタル・マイクロウェアの形状をレーザー顕微鏡によって立体的(3D)に測定し,表面形状をデジタルデータ化し,現在の動物からの同様のデータと比較することで,竜脚類が食べていたものの物性(硬さ)を明らかにする事ができた。

具体的には竜脚類の食べものは,貝の殻より柔らかく,卵の殻や肉よりも硬いということが分かり,食物は植物であるという推定が妥当だと示された。恐竜が食べていたものの物性が客観的な証拠により示されたのは世界で初めてだという。

今回分析した竜脚類化石が産出した玉川層では花粉化石の分析から当時の植物相が復元されており,被子植物は少なく,シダ植物や裸子植物が多かった事がわかっている。研究グループはこれらのことから,久慈の竜脚類は周囲に繁茂するシダ植物や裸子植物を食べていたと考えられるとしている。

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