ニコン,超解像多光子共焦点レーザー顕微鏡を発売

ニコンソリューションズは,大型標本の生体深部を超解像観察できる,超解像多光子共焦点レーザー顕微鏡システム「AX R MP with NSPARC」を9月上に発売する(ニュースリリース)。

近年,脳神経科学や創薬開発の研究において,生体組織やオルガノイドなどを顕微鏡観察することで,急速に変化する脳神経の活動や薬効を解析する研究が進んでいる。同社は,生体深部の高解像な広視野画像を高速に取得できる,高速多光子共焦点レーザー顕微鏡システム「AX R MP」を昨年発売した。

今回,「AX R MP」に超解像ユニット「NSPARC」を組み合わせることにより,生体深部を超解像でとらえることが可能になった。この製品を活用することで,アルツハイマー病やパーキンソン病など脳疾患メカニズムの解明や創薬研究への貢献など,研究の可能性をさらに広げるとしている。

この製品は大型標本の観察が可能で,「AX R MP」による深部観察と,「NSPARC」による超解像観察を併用できる。標本全体の画像から任意の箇所を選択し,マクロからミクロまで生体深部の構造を超解像画像で観察できる。

また,高速に画像を取得するレゾナントスキャナーにより,急速に変化する生体反応をとらえる。例えば,脳疾患研究において,神経細胞の微細構造を超解像画像で可視化することで多くの情報を得られ,その機能の解明に貢献するとしている。

この製品で取得した超解像画像を,ニコンの画像統合ソフトウェア「NIS-Elements」の各種AI機能で,効率的に画像処理・解析も可能。明るさ調整やノイズ除去,ターゲットとする細胞の抽出など,撮影後の煩雑な画像処理をAIが自動で行なうことで,ユーザーの作業負担を削減し,イメージングワークフロー向上にも寄与する。

さらに,紫外光から近赤外光領域まで使用でき,色にじみが少なく高分解能な対物レンズを豊富に揃え,実験目的に合わせた選択が可能。高倍率での超解像深部観察に適した「CFI Plan Apochromat LambdaS 60XC Sil」を新たにラインナップに追加し,疾患メカニズムのさらなる解明に寄与する。

「NIS-Elements」と対物レンズ情報が連携しているため,画像解析の際も煩雑なパラメーター設定を行なうことなく,画像の定量化ができる。

共焦点レーザー顕微鏡システム「AX」「AX R」と組み合わせる,「NIRイメージングオプション」も同時発売。従来の可視光に加え近赤外光によるイメージングが可能で,散乱光が少なく深部まで鮮明に撮影可能。最大5色の多色イメージングにも対応し,研究の幅を広げるとしている。

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