山形大,レーザーなどでナスカ地上絵を168点発見

山形大学とペルー人考古学者は共同で,人間,ラクダ科動物,鳥,シャチ,ネコ科動物,蛇などの地上絵168点を,南米ペルーのナスカ台地とナスカ市街地付近で新たに発見した(ニュースリリース)。

山形大学では,ユネスコの世界文化遺産「ナスカの地上絵」研究に取り組み,数多くの地上絵を発見するとともに,保護活動を推進してきた。現在,世界で唯一,ペルー文化省から正式に調査許可を取り,ナスカ台地で学術調査を実施しており,2004年から2018年までに190点の動物や人間などの地上絵を発見している。

今回,航空レーザー測量によって得られた高解像度画像の分析,ドローンを活用した現地調査(2019年6月~2020年2月),調査データの分析によって,ナスカ台地とナスカ市街地付近において168点もの動物や人間などの地上絵を発見した。

2018年までに発見した地上絵190点を加えると,これまでに358点もの地上絵を発見したことになる。発見した地上絵は,具体的には人間,ラクダ科動物,鳥,シャチ,ネコ科動物,蛇など。

これらの地上絵は,地表に広がる黒い石を除去して,下に広がる白い砂の面を露出することによって制作されたものだが,制作方法は2種類あり,線状に石を除去するタイプと,面状に石を除去するタイプに分かれる。

今回発見された地上絵のうち,前者のタイプの地上絵は5点だけあが,後者のタイプの地上絵は163点もあった。後者は10m以下の小型の地上絵で、小道沿いに分布する傾向があるという。

山形大学では米IBM T.J. ワトソン研究所と共同で,AIを用いたナスカ地上絵の分布調査を実施している。今回発見した地上絵をIBMとの共同研究に活用することによって,地上絵の分布を正確に把握するとともに,その分布規則を明らかにすることを目指しているという。またこうした研究成果を,地上絵の保護活動に役立てるとしている。

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