森林総研ら,LiDARで木の直径を測るアプリ開発

森林総合研究所(森林総研)とマプリィは,3Dレーザースキャナ付きのiPhoneやiPadを木にかざすだけで,直径を簡単に測定できる無料のアプリ「ForestScanner」を開発・リリースした(ニュースリリース)。

木の直径を測ることは,その木から取れる木材の量や,その木がどれくらいのCO2を吸収したかを知り,持続可能な開発目標(SDGs)に掲げられている持続可能な森林の経営や気候変動の緩和を推進していく上での第一歩となる。これまで木の直径は専用の巻尺などを使って測られてきたが,人手や時間がかかるといった課題があった。

研究では,LiDARスキャナが搭載されたiPhoneやiPadを使って,木の直径を素早く簡単に測れるアプリ「ForestScanner」を開発した。このアプリを使えば,iPhoneやiPadを木にかざして画面をタップするだけで,その木の直径を知ることができる。

直径データは端末に自動保存されるため,手作業による記録の必要もない。さらに,測定した直径は拡張現実(AR)によってリアルタイムで画面上に表示されるため,調査漏れなどのミスを防ぐことができる。

検証の結果,このアプリは従来の巻尺による方法と比べて,測定作業にかかる人手や時間を約1/4に削減できた。具体的には,森に生えている直径5cm以上の木(672本)を測ったところ,巻尺の場合は二人(測定者とデータ記録者)で3時間13分かかったのに対し,このアプリを使うと一人で1時間40分しかからなかった。また,測定精度も巻尺とでほぼ同様の値(誤差±2cm)が得られることが分かったという。

このアプリは,林業や環境モニタリングにおける作業の省力化に役立つと期待される。また,LiDARスキャナや拡張現実(AR)といった最新技術を体験できるツールとして,環境教育や市民科学プロジェクトの場でも活用できる。

森林総合研究所とマプリィは今後も共同研究を進め,デジタル技術を使ったさらなる森林調査の効率化や自然科学アプリの開発などに取り組んでいくとしている。

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