アルプスアルパイン,スマホ向けズーム機構を発売

アルプスアルパインは,スマートフォン向けアクチュエータのバラエティとして,SMA方式のアクチュエータの量産を開始するとともに,ピエゾ方式アクチュエータについてもびサンプル対応を開始した(ニュースリリース 1/2)。

スマートフォンのカメラに対する光学ズームの高機能化に伴い,同社では従来のVCM(Voice Coil Motor)方式に,SMA(Shaped Memory Alloy)方式とピエゾ方式アクチュエータを追加した。

SMA(Shaped Memory Alloy)は形状記憶合金の総称。直径約30umに加工したSMAワイヤに通電を行なうことによる伸縮を利用し,レンズキャリアを駆動。この構造により磁石・コイルが不要となる。また,ワイヤの抵抗値を読み取ることで移動量を正確に把握することができ,位置検出用センサが不要となることでアクチュエータの小型化,位置制御の簡素化にも貢献するという。

SMA方式の特長は以下の通り。
・駆動源に磁石/コイルを使わない為,カメラの小型化に貢献。同一センササイズにおいて取付投影面積では当社VCM比の約40%減を実現。
・磁気回路が無いため磁気干渉の課題が無く,マルチカメラ等のセット設計における自由度のアップに貢献。
・同社VCM比の同一体積において推力10倍以上となり,将来的なセンサ大型化に伴うレンズ重量の増加にも対応し,1,000mgのレンズ重量でも当社VCM比60%の取り付け面積で対応可能。

ピエゾ方式は,従来のVCM方式が数百μmの移動距離に対して,数mmの移動距離の対応が可能。さらに,駆動源に電磁方式を用いない為,VCM方式の様なレンズキャリアの大型化に伴う電磁力の大きな磁石やコイルが不要となり,アクチュエータの小型化に貢献する。

ピエゾ方式の特長は以下の通り。
・レンズキャリアの移動距離がVCM方式と比較して,簡単な構造となっており,数センチ程度長くすることが可能。
・推進力がSMA方式よりも大きく,数グラムの推進力でも駆動することが可能。
・2群レンズを個別に動かす光学ズーム用の用途を想定し,潜望式アクチュエータの設計が容易。
・SMA方式同様に磁気回路が無いため磁気干渉の課題がなく,マルチカメラやセット設計の自由度アップなどに貢献。
・一般的にピエゾ素子駆動は高電圧が必要だが,独自駆動方法にて3V駆動電圧での実現が可能となり,モバイル機器への搭載が容易。
・無通電時のレンズキャリア位置保持が可能となり,耐外部振動が高く,ドローンなどの用途にも対応することが可能。

同社はSMA方式については,既に量産開始した顧客に続き,新たな顧客への拡販展開も1月から開始する。ピエゾ方式については,既に一部顧客に対しサンプル対応を実施。今後はスマートフォン以外にもドローン,監視カメラ,産業機器などの市場にも拡大する予定とし,2023年1月からサンプル対応を行なうことが可能だとしている。

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