島津,超音波光探傷装置を発売

島津製作所は6月9日に超音波光探傷装置「MIV-X」を国内外で発売することを発表した(ニュースリリース)。価格は1,250万円(税抜き)。

超音波光探傷とは,超音波と光を利用した非破壊検査技術。検査対象物の表面を超音波で振動させ,振動によって生じた表面のわずかな変化をレーザー照明およびカメラで検知し,剥離や亀裂などの異常が存在すると,超音波の不連続(伝搬の乱れ)が検出される。従来からある超音波探傷で見つけにくい内部(深さ1mm程度)の欠陥を可視化できるという。

この製品は,超音波が物体表面を伝搬する様を撮像するという同社独自の超音波光探傷技術により,航空機・自動車・電機・電子などの部品やマルチマテリアルなどの異常(剥離,亀裂,空洞など)を可視化・データ化するもので,従来は打音検査など欠陥の有無を確認していた作業を補完し,測定結果の自動記録も実現するとしている。

この製品は,前身機種「MIV-500」の最大400mm×600mmの範囲を約20秒で検査という基本性能を引き継ぎつつ,超音波の伝播を示す画面からデジタルノイズを除去する機能を搭載し,異常が識別しやすくなったという。

また,亀裂や剥離を撮影した画像上にスケール(物差し)を表示したり,選択した2点間の長さを測ったりという操作を簡単にできるユーザーインターフェースを搭載。さらに,付属品のズームレンズをカメラユニットに取り付けると,検知できる異常の最小サイズが1mmから0.5mmへと約2倍に向上するとしている。

この製品により,強化や軽量化を目的に異なる材料を組み合わせたマルチマテリアルの研究開発工程において,接合や接着面の異常を容易に検査可能だとし,同社は,この製品を輸送機や機械,素材,建設などの製造業・受託検査会社,マルチマテリアルなどの新素材開発を手掛ける研究機関に販売していくという。

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