中大ら,伸縮可能な光センサシートで液体分析に成功

中央大学,東京工業大学,大阪大学,産業科学研究所,蘭Eindhoven University of Technologyは,新しい機能を示す光センサシートを開発し,今までにない簡便な液体化学分析手法を確立した(ニュースリリース)。

サンプル非採取かつラベルフリーな液質検査手法にの代表例に紫外線計測が挙げられるが,外部光源や光学系を要する巨躯なシステムとなり,携帯性に課題がある。加えてオンサイトかつ動的な環境計測に向けては,透明性の高い材料を用いた液体流路に限定される

今回研究グループは,観察対象流路へセンサシートを貼り付けるだけで,内部を流れる液体の濃度計測に成功した。構築したセンサシートは,フレキシブルな広帯域電磁波吸収材料であるカーボンナノチューブ(CNT)薄膜と,高分子成分を含む薄膜支持基板,読出し電極から成る。

センサシートは,光熱起電力効果を含むCNT薄膜の特徴的な材料特性により,室温でミリ波・テラヘルツ波・赤外線まで広帯域に渡る光を高感度に検出する。加えて,ゴムのように伸縮可能な印刷回路基板の作製や,その基板へCNT薄膜を実装する無歪領域デザインにより,元来の多機能な光センシングを70~280%の伸長状態でも安定して発揮するという。

また,センサシートを多様な配管に貼り付けることで,内部の液体が自ら発する赤外線放射(黒体輻射)を高感度に検出可能。研究グループは今回,溶媒からの黒体輻射が局所的に溶質に吸収されることを明らかにし,センサシートの検出信号の減衰強度から溶質の量,つまり水溶液濃度を計測することに成功した。

今回達成した水溶液濃度計測レンジはグルコースを例に50–20,000mg/dLで,血中や農作物の濃度レンジに対応する。その他,液流の温度や粘度の非破壊モニタリング,更にセンサシートの無線式遠隔操作が可能で,様々なシーンでの活用が見込まれるとする。

このサンプル非採取・ラベルフリー・外部光源不要なシート貼り付け式のコンパクトな非破壊液質計測手法は,ユーザーの技量や検体構造に制約されることなく,基盤要素技術として将来的なオンサイト環境計測の実現に貢献するものだとする。

具体的には,砂糖水等の飲料品製造現場,漂白液等の化学合成プラント,生理食塩水を用いる医療現場といった環境での品質管理を挙げる。研究グループは今後,濃度計測対象となる化合物への選択性を実証し,複数化合物含有の液流を対象とするオンサイトモニタリングへと展開するとしている。。

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