島津製作所は5月9日,「海洋石油・天然ガス分野における脱炭素化等推進に係る日本財団-Deep Star連携技術開発助成プログラム」(開始:2022年6月1日以降,終了:2023年5月31日)において,提案していた「全周囲型水中光無線新システムのアプリケーションスタディ」が助成対象の研究テーマとして採択されたと発表した(ニュースリリース)。
研究テーマは「当社の水中光無線通信装置を水中遠隔操縦ロボット(Remotely Operational Vehicle:ROV)に搭載して,浮体式洋上風力発電および海洋石油天然ガス田に関わる敷設・保守管理業務に用いる可能性を検証する」というもの。
同社はこの技術の普及により、洋上風力発電および海洋石油・天然ガス開発作業のリモート化を目指す。これによって水中におけるデータの送受信を飛躍的に効率化できるとともに,「有線式ROV作業船からの二酸化炭素排出量の削減」「ダイバー作業の削減による安全性向上」にも貢献するとしている。
なお同社は「海洋石油・天然ガスに係る日本財団-DeepStar連携技術開発助成プログラム」(開始日2019年6月1日,終了予定:2022年10月31日)においても「水中光無線通信技術を用いた水中光Wi-Fiシステム」を研究テーマとして採択を受け,水中光Wi-Fiシステムの実用性検討に取り組んでいる。
実証内容は,海底周辺に半球状の光無線通信エリアを構築する水中通信基地局の試作機と,光無線通信装置を搭載したROVとの通信試験。基地局のカメラ映像を光無線通信によってROVに伝送する試験を実施し,「ROVが水槽を自在に動いても途切れないカメラ映像の伝送」に成功した。
次いで,光無線通信を通じてROVのカメラ映像を確認しながら遠隔操作する試験を実施し,「光無線通信による無線ROVの遠隔操作」に成功している。ROVには水中光無線通信装置「MC100」を搭載した。