慶大ら,オープン光ネットワークの監視・管理を実証

慶應義塾大学,日本電気(NEC),KDDI総合研究所は,総務省委託研究 研究開発課題「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」の技術課題Ⅲ「高効率光アクセスメトロ技術」に取り組み,異なる複数のベンダの伝送装置で構成されたオープン光ネットワークにおいても,共通に監視及び制御することが可能な技術を開発し,信頼性の高い光ネットワークの構築が可能となることを実証した(ニュースリリース)。

光伝送装置のオープン化の流れは急速に進んでおり,今後数年程度で実用化が行なわれる可能性がある。オープン化に必要な技術として,各ベンダの装置の制御インターフェースの共通化,各コンポーネントの共通モデル化,異種ベンダ間の相互接続性の担保等が必要でありTIP,Open ROADM等のデファクト標準化団体により,検討が進められている。

一方,光信号品質の担保や装置制御の複雑化,障害特定・復旧の困難さが増大することが予想され,オペレーションコストの増大や信頼性の低下が懸念されている。そこで研究では,光物理層の監視技術として,障害として起こる可能性が高い伝送路障害,トランスポンダ異常出力を監視する技術に注目し,かつ,光ネットワークへの多数配置,常時監視を行なうための低コスト化を実現する技術の開発を行なった。

具体的には,リアルタイム監視,マルチベンダ制御,高可用ルーティング技術を確立した。研究グループは,個々のこれら基盤技術を組み合わせ,国内外の5ベンダの伝送装置から構成されるテストベッドにて,オープン光ネットワークにおける高信頼化技術を実証した。

その結果,光ファイバ障害やトランスポンダ障害時の自動障害復旧が可能であることを確認した。これにより,運用コストの増加を抑えると共に高信頼なマルチベンダ光ネットワークを構成できることを実証し,今後のマルチベンダ対応光ネットワークの実用化に道筋をつけることができたとする。

研究グループは今後,この研究開発で確立した基盤技術を基に,これまで進めてきた顧客ヒアリングをさらに進めて真に役立つ技術の峻別を行ない,光ネットワーク監視・制御基盤技術の開発及び検証等を推進し,2020年代半ばの実用化を目指すとしている。

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