2030年TV世界市場,43.4%増の24兆9,700億円

富士キメラ総研は,8K関連映像技術の機器,デバイス,ビジネスの世界市場を調査し,その結果を「5G 時代の映像伝送技術/8K ビジネスの将来展望 2022」にまとめた(ニュースリリース)。

TVの解像度別世界市場は,表示デバイスにLCDやOLED,マイクロLEDを利用し,TVチューナーを搭載したデジタルTVを対象とし,TVチューナー非搭載の業務用モニターは対象外とした。

それによると,先進国では初期にデジタルTVを購入したユーザーの買い替え需要が,新興国では新規需要が中心となっている。2021年は,下期に外出機会の増加によりTVの視聴機会が減少したことや半導体不足による生産減の影響で市場は低調のため,前年比微減が予想した。今後は,先進国ではスマートフォンやPCなど動画視聴可能な機器との競合で市場は横ばいか微減するとみている。

一方,新興国ではワクチン接種の浸透による経済活動の再開に伴い需要は増加し,2030年には2020年比43.4%増を予測する。また,日本では,買い替え需要が鈍化していくことやスマートフォンの普及,動画視聴ニーズの増加により全世帯TV保有台数が減少するが,4Kや8K製品化が進み1台当たりの価格は上昇するとみる。

解像度別では,現状4K製品が中心だという。8K製品は日本のほか,北米や中国などでも導入段階にあるが,8Kコンテンツや再生システムが不足しているため,普及には至っていない。今後は,家庭用ゲーム機の8K対応など8Kの体験機会の増加により,徐々に需要が増加していくという。

5G通信対応は,5G通信受信端末やVPNルーター,デコーダーなどを介してK映像を伝送する実証実験が進んでいることから,2025年頃には5G通信を活用したスポーツ中継の8Kライブ通信なども行なわれ,導入が広がるとしている。

HMDの解像度別世界市場は,VRを投影する非透過型ウェアラブル機器を対象とし,段ボールや紙でできている簡易型やディスプレーを搭載しないスマートフォンアクセサリー型は対象外とした。

2021年の市場は,コンシューマー向けに加え,ビジネス向けでも新型コロナ流行の影響により遠隔コミュニケーションツールとして活用され,伸長しているという。今後は,医療や工場,シミュレーションなどでの導入も進むことから,2030年には2020年比14.9倍を予測する。

解像度別では,4K製品の比率が高まっており,仮想現実を利用する際に映像のリアリティ性が求められていることから今後も高解像度化が進むとみている。5G通信対応は,ネットワークに繋がっていないスタンドアロン型の製品において,高解像度化に伴い5G通信対応VR/ARチップの採用が進んでおり,今後比率が高まると予想する。

医療用モニターの解像度別世界市場は,検診や診断,手術,マンモグラフィなどに使用されるDIOOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠した医療向けの専用ディスプレーとSICOM規格に準拠していないが医療向けに特化した映像視聴を可能とする製品を対象とした。

2021年は,医療ICTの計画的な導入により,堅調な伸びを予想する。今後は,新興国で画像保存通信システム(PACS)の整備が進むことから,市場拡大を予想する。日本では,電子カルテ向けの堅調な需要に加え,インテリジェント手術室において手術向けカラーモニターの導入が進むという。

解像度別では,4K以上(8M/12M)の高精細モニターや4K/3D対応ビデオモニターが,先進国において,手術支援ロボットや内視鏡,手術顕微鏡と接続する目的で伸びているという。また,医療用カメラや周辺機器で8Kへの対応が始まっており,日本では先行して臨床現場で利用が進んでいる。2025年以降は日本以外でも導入が始まるとみる。

5G通信への対応としては,遠隔画像診断での利用が予想され,デコーダーや通信端末を通じた8K映像の伝送が増えるとみている。

監視カメラ(業務用)の解像度別世界市場は,店舗やオフィス,工場などで主に業務用途の監視カメラを対象とし,家庭用は対象外とした。2021年の市場は,顔認証や画像認識を用いたソリューションが増えていることから,前年比4.9%増を見込む。特に,国策による監視体制の強化を背景に,中国での需要が増加しているという。

今後の市場も,顔認証や画像認識での既存製品のリプレース需要や設置台数の増加で伸びるとみる。日本では,都市部の継続的な再開発や2025年開催予定の大阪万博などにより監視カメラへの需要が高まるため,市場拡大を予想する。

解像度別では,現状は4K未満が中心である。工場や河川,スタジアムなどの広域面積の監視や画像解析ソリューションを用いるケースでは4K製品の需要が高いとして,今後も導入が進むとみている。

5G通信対応は,セキュリティの担保のために,専用回線や暗号化などの処理が必要であることから普及は進んでいない。ただし,公共分野や金融機関での防犯用途,緊急医療でのリアルタイム映像伝送でニーズが高いため,インフラやセキュリティ技術の発展に伴い5G通信映像ソリューションが普及することで,今後対応が進むとしている。

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