スタンレー電気は,米ルーメンタムとの技術協力により製品化した,車載品質規格AEC-Q102に準拠した高出力赤外VCSELの量産出荷を開始した(ニュースリリース)。
赤外線を使用したセンサーは過去から様々な用途で利用されてきたが,近年その高性能化が急速に進んでいる。
自動車では,ADASの1つとしてドライバー原因による交通事故防止を目的としたドライバーモニタリングシステム(DMS)の搭載が増加しており,車室内における乗員の危険を低減する乗員監視機能(OMS)も普及が始まり,これらには同社の赤外LEDも多く使われている。
一方,今後は自動運転やADASの高度化によって更に高性能なセンシングが必要になり,これまで使われてきた赤外LEDでは実現できない新たな領域が生まれているという。
例えば新製品は,光源デバイスだけでカメラの撮影範囲の隅々にまで均一で高出力な赤外線を照射する事ができる。これにより,ドライバーの視線や表情の些細な変化も読み取り,また車室内のどこに人が居ても見逃すことなく検知する事が可能になる。
加えてLEDよりも高速なパルス発光が可能であり,この特性を活かしたTOFカメラやLiDARを使って,距離や形状などの3D情報をセンシングする事もできる様になる。
同社はこの赤外VCSELを,同社の強みである「光源制御技術」と「車載用デバイス製造技術」を活かした新たな赤外線光源として提供するとしている。
この製品の主な仕様は以下の通り。
製品名 | UDN1Z54 |
光出力 | 2.1 W |
照射角度 | 54° × 43° |
中心発光波長 | 940 nm |
順電流 | 2.7 A |
順電圧 | 2.1 V |
パッケージサイズ | 3.5 mm × 3.5 mm |