浜松ホトニクスは,レーザーの出力,スポット径を各用途に最適化した全5種類のレーザー加熱システムシリーズの販売を12月1日より開始する(ニュースリリース)。価格は255.2万円が2機種,356.4万円が1機種,435.6万円が2機種となっている。
近年,LDの高出力化や低コスト化によりレーザー熱加工への期待が高まっているが,比較的新しい技術のため,加工の信頼性や品質管理への不安から普及が進んでいない。
このような中,同社は幅広い熱加工用途に,均一照射が可能かつ高い精度で加工品質を管理できるLD照射光源を開発,製造,販売しているが,用途に最適な光源とオプションの選定が難しいという課題があったという。
同社製LD照射光源は,レーザーを照射面に対し均一な出力分布で照射し,加熱むらなく高い品質で加工することができるという。また,1本の光ファイバーで加工と計測を行なうことでレーザー照射箇所の温度情報を正確に取得し,加工の品質を高い精度で管理することができるとする。
レーザー熱加工は,用途に応じて最適な加工条件が異なる。従来,300パターン以上の組み合わせの中から,光源とオプションとなる光ファイバー,照射ユニットを選定していたが,今回,同社がレーザーによるはんだ付けや樹脂溶着,接着剤熱硬化の各用途に最適なパターンで光源とオプションを組み合わせた,全5種類のレーザ加熱システムシリーズの販売を開始する。
これにより,微細なスマートフォン部品のはんだ付けや自動車部品の樹脂溶着,異種材料の接着剤熱硬化など,レーザー熱加工の各用途に応じ最適な製品を選定しやすくするとともに,セット構成により低価格化を実現した。
また,レーザー熱加工は,従来のはんだごてや超音波溶着機,加熱炉などと比べ加工効率が高く環境負荷が少ないことから,この製品の拡販により脱炭素や持続可能な社会の実現にも貢献できるとする。
この製品は,レーザースポット径をはじめとする各条件のカスタム希望にも対応可能。販売目標(5種類合計) は,初年度50台/年,3年後 100台/年としている。同社は今後,金属ナノインクの焼結などの用途に向け,より出力の高いレーザー加熱システムの製品化を進めていくとしている。