東北大ら,222nmが植物に重障害を与えると発見

東北大学,東北大学ナレッジキャスト,コシダカ,オーク製作所は,222nm紫外線が生物に与える影響を254nmの紫外線(殺菌灯)と比較し,222nm紫外線が植物に対し,生育に重篤な障害を与えることを明らかにした(ニュースリリース)。

紫外線はエネルギーが大きく,吸収した核酸は破壊されたり傷つけられるため,その結果として細菌などは死滅する。

ヒトも例外ではなく,254nm紫外線は白内障や皮膚ガンを引き起こす有害な光として認識されている。そのためこれまで殺菌灯は,ヒトには曝露されない場所で,細菌やウイルスの不活化を目的に利用されてきた。

しかし今日,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,殺菌灯(254nm)の波長よりも短い,222nmの紫外線ランプが注目されている。222nm紫外線は皮膚や目などの細胞内への透過性が低く,細胞中に存在する核酸まで到達できない。したがって人体への影響は低く,安全であると報告されている。

だが222nm紫外線の生物影響に関する研究は,細菌,ウイルス,そしてヒト培養細胞,マウスが主であり,それ以外の生物種への影響に関する知見はほとんど無かった。

研究グループは,植物に対する222nm紫外線の影響を調べるために,モデル植物であるシロイヌナズナを材料に222nmと254nmの紫外線ランプを用いて,その生育に及ぼす影響を比較解析した。その結果,222nmと254nmの両者とも,紫外線の照射線量の増加に伴ってシロイヌナズナの生育障害(地上部の新鮮重)は大きくなり,両者で違いはなかった。

しかし,シロイヌナズナの葉の細胞内の様子を共焦点顕微鏡で観察すると,1kJ/m2の254nmの紫外線を照射した場合は(マウス等の実験でDNA損傷が誘発され,皮膚ガンが誘発される強度の紫外線),表皮より奥深いところに位置する葉肉細胞,および細胞内の葉緑体,ミトコンドリアは障害を受けていたが,表皮の細胞へのダメージはほとんど検出できなかった。

一方,同じ線量の222nm紫外線を照射した場合は,表皮の孔辺細胞が顕微鏡では確認できないほどに重篤な障害を受けており,線量が増加すると,表皮細胞が障害を受けて破壊した後,さらに葉肉細胞まで紫外線が透過し,さらなる障害が引き起されていることを発見した。

気孔は,光合成を行なうために必要な二酸化炭素を体内に取り組む重要な器官であり,その障害は光合成を阻害するため,植物の生育に重篤な障害を引き起こす。研究グループは今後,様々な生物への影響をさらに詳細に確認し,ウイルス不活化技術をより向上させる必要性があるとしている。

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