光技術展示会「光とレーザーの科学技術フェア2021」(11月17日(水)~19日(金),東京都立産業貿易センター浜松町館)においてシンターランドは,硫化亜鉛(ZnS)の大型赤外線レンズを展示している(赤外線フェア ブースNo.4R-12)。
同社は放電プラズマ焼結加工(Spark Plasma Sintering:SPS)装置を製造するメーカー。SPSは金型と焼結材料に大電流を流して自己発熱と加圧によって形成加工する技術だが,同社はこのSPS技術とZnS焼結材料を用いて赤外線レンズの製造を試みている。
展示するサンプルZnSレンズはφ140と大型。一般的にZnSレンズはCVDによって製造されるが,CVDによる合成は非常に時間がかかるほか危険なガスを使用する必要があり,装置や原材料のコストも高価など多くのデメリットがある。
一方,SPSは危険な材料を必要とせずに高速で成形できるという特長があり,ワンプルのレンズは4時間ほどで作られたという。また,SPSはナノ材料の特性をそのままに形成が可能であることから,このレンズはCVDによる形成品よりも8~10μmで透過率が高く,機械的特性でも優れているという。
現在,このレンズは航空宇宙での共同研究において評価を進めており,おそらく人工衛星からの観測用途に使用されるのではないかとしている。同社ではZnSレンズの製造販売に乗り出す構えで,会場でリサーチを行なっている。