出光興産は,同社100%子会社のソーラーフロンティア(SF社)について,主力工場である国富工場におけるCIS薄膜太陽電池の製造を終了し,次世代型システムインテグレーターへの転換を図ると発表した(ニュースリリース)。
第6次エネルギー基本計画(案)において再生可能エネルギー,とりわけ太陽光発電の拡大が示されているが,我が国が太陽光発電を主力電源化していく上で,①設置場所の限界,②発電所の長期安定利用と太陽電池パネルの大量廃棄,③系統電力システムの需給安定化への影響という3つの問題がある。
SF社はCIS太陽電池を製造・販売する唯一の企業であったが,汎用太陽電池パネルは熾烈な価格競争に陥っており,研究・製造に投入している経営資源を成長分野にシフトし,この3つの社会課題に具体的な解決策を提示できる次世代型システムインテグレーターへの転身を目指す。
今後,CIS薄膜太陽電池の研究開発は出光興産次世代技術研究所に集約し,CISの高付加価値化を目指した次世代太陽電池の研究開発を加速する。具体的には①CISの「高放射線耐性」という優位性を活かせる宇宙空間用途,②電動自動車や通信用ドローンといった移動体への搭載が期待されるタンデム型太陽電池への活用,などだという。
国富工場におけるCIS薄膜太陽電池の製造終了に伴い,SF社の太陽電池事業は結晶シリコン系太陽電池のOEM調達へと移行する。同工場は引き続き国富事業所として一部のコーポレート機能を保有しながら,SF社が次世代型システムインテグレーターに転換していく上での中核的拠点として,以下の役割を担う。
①太陽光発電システムの販売支援・品質保証・アフターメンテナンス
②エネルギーマネジメントシステムと発電所評価のためのデータ分析・解析
③エネルギーマネジメントシステムの実証・開発
④O&M技術開発
⑤太陽電池パネルリサイクル
なお,国富工場の一部社員については,グループ内他事業所への異動等を予定しているという。