理研,多成分結晶の新たな結晶化機構を発見

理化学研究所(理研)は,多成分から構成される結晶における新たな結晶成長機構を発見した(ニュースリリース)。

結晶は,原子や分子が規則正しく配列することで形成される。結晶が形成されるとき,どのように成長していく(大きくなっていく)かは,原子・分子の供給状況や固液界面における原子・分子の取り込み過程などが関係している。

複数の成分が一つの結晶を形作る場合は,1種類の原子や分子が結晶化するときと比べて結晶化の経路は複雑になり,異なる構造の結晶が混在して得られることもある。また,構成成分の種類が同じであっても,結晶中での配列様式の異なる結晶はしばしば全く違う性質や機能を示すため,どのような過程を経て結晶が成長するかを解明し,結晶化経路を制御することは重要となる。

今回,研究グループは,亜鉛イオンと有機物であるポルフィリンとアゾピリジンの溶液を加熱すると,まずピンク色の板状結晶が成長し,その中央部から新たに濃い赤色のブロック状結晶が現れ,最終的には濃い赤色の結晶だけになることを発見した。

この段階的な結晶化現象の裏には,ピンク色の結晶に存在する構造的な「欠陥」が重要な役割を果たしていることが明らかになった。具体的には,結晶内部に蓄積されたひずみが,多成分の結晶化経路の選択を可能にすることを偶然発見した。

3成分のうち2成分(亜鉛イオンとポルフィリン)が最初に選択され,構造的な「欠陥」(らせん転位)を持つシンプルな結晶が形成された後,最初に除外されていた成分(アゾピリジン)を取り込むことで,複雑な結晶へ自発的に転移した。

最も興味深いのは,この自発的かつ位置選択的に進行する結晶転移が,結晶成長に伴って欠陥の周囲に蓄積されるひずみによって引き起こされたという点だという。研究グループは,今回の発見について,特異な構造を持つ多成分結晶の設計のための新しい戦略につながるものだとしている。

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