2035年PV導入量,2020年2.1倍の1億4,100万kWに


富士経済は,再生可能エネルギー発電について関連システム・サービスの市場予測や主要参入企業の取り組みを整理し,その結果を「FIT・再生可能エネルギー発電関連システム・サービス市場/参入企業実態調査 2021」にまとめた(ニュースリリース)。

再生可能エネルギー発電システムの2020年度の市場は5分野全体(太陽光/風力/水力/バイオマス/地熱発電)で1兆7,986億円を見込む。そのうち太陽光発電システムは2014年度に導入ピークを迎え,以降は縮小が続いているが,2020年度で全体の約75%を占めるという。

2025年度までにFIT事業認定案件の導入はほぼなくなるが,以降は非FITやFIP(Feed in Premium)による導入が進むとみる。しかし,導入コストの急速な下落により,2035年度には2020年度見込比6割弱まで市場規模が縮小する。

一方、風力発電システムは洋上風力発電システムの導入が2030年度以降に本格化することで,2035年度は2020年度見込比4倍以上に拡大するとみる。太陽光発電システムの減少分をカバーする形となり,2035年度の市場は2020年度見込比微減となる1兆7,651億円を予想する。また,太陽光発電システム以外の再エネ発電システムが市場の6割近くを占め,FIT開始以降,太陽光発電システムがけん引してきた再エネ市場の構造が大きく変容するとみる。

太陽光発電システムは,2020年度は新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け,導入案件の先延ばしなどがみられたが,下期に入って状況に改善がみられるという。しかし,中小規模案件における新規事業認定取得の急減を受け,市場は前年度比11.8%減となる1兆3,281億円を見込む。

2021年度は新規事業認定量急減の影響が続き,特に低圧分野で導入量減少が進むという。高圧分野は自家消費案件の導入増がみられるが,特別高圧分野は大規模FIT案件の減少が続くとみる。2025年度はFITによる導入量の減少で年間導入量は減少するが,以降は非FITやFIPでの導入が増加し,市場縮小は底打ちを迎えるとみる。

太陽光発電システムはFIT開始後,計画から運転開始までのリードタイムが短く,設備投資の費用対効果が高いため導入量が急増した。2020年度までの累計導入容量は6,570万 kWが見込まれ,導入容量全体の76.7%を占める見込みだという。2035年度でも構成比は70%を超えるとみる。

再エネ発電量は2030年度に3,000億kWhを突破,2035年度には3,795億kWhとなり,国内総発電量(約1兆kWh)の約40%を占めるとみる。太陽光発電システムは導入コストの低下とリードタイムの短さなどから新規導入が継続し,2020年度の806億kWhから2035年度には1,730億kWhまで増加し,長期的に再エネ発電量全体の45~50%の構成比を維持するとみている。

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