リコー,色素増感太陽電池の発電量を20%向上

リコーは,室内照明のような微弱な光においても高い発電性能を発揮する固体型色素増感太陽電池モジュール「RICOH EH DSSCシリーズ」の新製品を2021年5月下旬から発売する(ニュースリリース)。

すべてのモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)社会では,モノに取り付けられた各種センサーの情報をインターネット経由で収集しモノの状態や位置などを把握することにより,快適な生活を可能にしていく。

今後,さまざまなモノへのセンサー搭載拡大が予想されるなかで,それらのセンサーを常時稼働させる自立型電源として,身のまわりにある光や熱,振動などから発電するエネルギーハーベスト(環境発電)が注目されている。

この固体型色素増感太陽電池は,同社が複合機の開発で培った有機感光体の技術を応用して開発したもので,従来の液体型色素増感太陽電池における電解液を有機半導体材料等で構成しており,電解液を用いる電池が抱える液漏れや腐食といった安全性や耐久性に対する課題を解決したとする。

また,室内光源波長に適した有機材料の設計および,デバイス構造の最適化を実現することにより,倉庫などの明るさの十分でない場所でも高効率の発電を可能にしたという。

具体的には,最大出力を従来製品の約20%向上させたほか,マイナス30°Cまでの低温環境下にも対応した。これにより,照明機能の付いた冷凍用の倉庫やショーケース内のセンシングをはじめとする多種多様な環境で使用することができる。

同社ではこの製品をIoTデバイスの自立型電源として,製造・物流,スマートオフィス/ホーム,介護・医療(医薬品の保管)など向けに,IoTデバイスを供給する事業者に提供していく。

なお,この製品は,3種類のラインアップやサイズは従来のままで,製品評価用として3種類のモジュールがそれぞれ3個入った「Evaluation Set」を有償(オープン価格)にて提供するとしている。

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