富士キメラ総研は,機能性高分子フィルムの市場を調査し,その結果を「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」にまとめた(ニュースリリース)。
この調査では,ライフサイエンス・インダストリー関連の機能性高分子フィルムをライフサイエンス(6品目),工業・自動車(10品目),エネルギー(4品目),土木・建築(6品目),パッケージング(10品目),バリアフィルム(5品目)の6分野に分類し,各品目の国内市場について現状を調査し,将来を予想した。なお,22品目に関しては世界市場も調査している。
これによると,2024年のエネルギー分野の機能性高分子フィルム市場は983億円と,2019年比80.0%増となる。調査は太陽電池用封止フィルム,太陽電池用バックシート,LiB(リチウムイオン二次電池)用セパレーター,LiB用ラミネートフィルムを対象とした。
太陽電池用封止フィルムとバックシートは,ユーザーである太陽電池モジュールメーカーの生産拠点が海外へシフトしているため,市場は縮小している。2021年以降の市場は,横ばいから微減を予想した。
LiB用セパレーターとラミネートフィルムは,EV・HV市場の拡大に伴い,近年需要が大幅に増加してきたという。LiB用セパレーターは,2020年は新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けて,EV・HV市場の拡大ペースの鈍化などにより前年比1%程度の伸びにとどまるものの,2021年以降は毎年20%近い伸びを期待する。
LiB用ラミネートフィルムは,主にラミネート型LiBで使用される。使用量の多いEV・HV向けがけん引して,2020年も引き続き堅調に伸びるとみる。参入メーカーは生産能力の増強など旺盛な需要への対応を進めていることから,今後の伸びが期待されるとしている。