2019年国内一般照明市場,2.6%減の9,846億

矢野経済研究所は,国内の照明市場を調査し,一般用途照明市場の概況,参入企業の動向,および将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。

それによると,2019年の一般用途照明市場(従来光源照明器具+従来光源ランプ+LED照明器具+LEDランプを合算,メーカー出荷金額ベース)は,前年比2.6%減の9,846億円となった。

2011年の東日本大震災を契機とした電力需給逼迫に対する懸念の高まりを背景に,これまで省エネ効果の高いLED照明の需要が急速に拡大してきた。従来光源からLED照明へのシフトが進み,LED照明市場は伸びる一方,従来光源市場は急減していることから,両者を合わせた一般用途照明市場は減少傾向で推移しているという。2020年の一般用途照明市場は前年比11.0%減の8,758億円と,コロナ禍による経済環境の悪化等を理由に大幅な前年割れを見込む。

LED照明の普及拡大に伴う価格競争の激化により,LED照明メーカーはLED照明が普及を始めた時期と比較して利益の確保が難しい状況であり,事業の選択と集中の観点から,照明事業を営む子会社や関連会社を親会社が整理・売却するなどの動きがみられるという。なお,コロナ禍を契機に,今後は中小独立系照明メーカーの業界再編につながる可能性もあるとしている。

2020年のLED照明市場規模(LED照明器具+LEDランプを合算,メーカー出荷金額ベース)は前年比8.7%減の7,752億円を見込み,2021年は同1.6%減の7,629億円と予測する。また,2025年の同市場規模は2020年比4.7%減の7,387億円と予測する。

LED照明市場はかつてのような伸びはみられず,年々市場成長率は鈍化している。2019年にはマイナス成長となり,2020年は東京オリンピック・パラリンピック開催に伴うインフラ整備需要減少のほか,コロナ禍を背景とした経済環境の悪化も重なり,大きく減少する見込みだという。

但し,コロナ禍の収束時期が見通せず,先行き不透明ではあるが,フロー(年間出荷)ベースでのLED化率(SSL[半導体照明]器具化率)は既に100%近くあり,フロー市場における数量面での大幅な伸びはもはや期待できない。また,LED照明のコモディティー化による価格競争の激化により,金額ベースでのLED照明市場の伸びはさらに難しい状況だとしている。

一方,プラス要因もあるという。ストック市場におけるLED化率(SSL器具化率)は5割前後と推計されるため,残りの5割のリニューアル需要が見込まれる。また,東日本大震災以降,急速に普及したLED照明も設置時期から寿命の目安と言われる10年を迎えようとしており,LEDからLEDへの「L to L」需要が順次見込まれるとする。

さらに,コロナ禍が収束し,通常の経済活動が再び戻ることになれば,打撃を受けている店舗や商業施設,宿泊施設などの新設・リニューアル需要や企業の設備投資意欲の回復などにより,LED照明市場は底堅い需要が続くと考えられるという。

基本的な市場トレンドについては,かつてのような伸びは期待できないものの,新設/リニューアル需要は,今後も毎年一定規模以上発生するため,照明需要が急減することは考えづらく,中期的に漸減傾向で推移するものと予測している。

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