浜ホト,多波長による半導体故障解析装置を開発

浜松ホトニクスは,独自の光学設計技術を応用した多波長対応のレーザースキャナを搭載することで,可視光から近赤外光までの波長の光での故障解析を1台で行なえる半導体故障解析装置「PHEMOS(フィーモス)-X C15765-01」を開発した(ニュースリリース)。

半導体デバイスに電圧を加えると故障箇所から光や熱が発生する。また,電圧を加えながらレーザーでスキャンすると,故障箇所の電流や動作状態が変化する。これらの性質を利用し,半導体デバイスの変化を信号として検出し画像化することで,故障箇所を推定できる。

同社は今回,独自の光学設計技術を応用し,半導体デバイスをスキャンするためのレーザースキャナをはじめ,半導体デバイスをセットする光学ステージや広視野での観察用のマクロレンズなど,解析装置の構成要素を一から設計し直すことで,従来製品と比較し感度,分解能に加え精度や使い勝手を大幅に向上させた。

従来のレーザースキャナは1300nmの近赤外光に特化した設計だったが,今回,5種類のレーザー光の損失を抑えたレーザースキャナの開発に成功した。この結果,532nmの可視光から1340nmの近赤外光までの多波長のレーザーを利用した故障解析を1台で行なうことができ,従来よりも波長の短いレーザーで対象をより細かく観察できるとともに,可視光に反応するパワー半導体の故障箇所も高感度で観察できる。

同時に,照射するレーザーの光量を増加させたことで,故障箇所での電流や動作状態の変化などの信号量も増加し,より高感度の観察が可能。また,マクロレンズの開口率を高めたことで,より微弱な発光を検出できるという。

さらに,精密な操作ができる駆動方式を採用し光学ステージの位置決め精度と再現精度を高めるとともに,レーザースキャナの照射箇所の位置決め精度も高めたことで,故障箇所をより正確に観察できる。加えて,タッチパネルによる操作やソフトウェアの開発により使い勝手を向上させた。

同社ではこの製品により,最先端の半導体デバイスやパワー半導体など,需要拡大が見込まれるさまざまな半導体デバイスの故障箇所を推定しやすくなり,解析作業の効率が高まるとしている。

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