九大ら,光渦によるねじれ加工と過程再現に成功

九州大学,宇都宮大学,埼玉医科大学,米パデュー大学は共同で,偏光状態を実測した特殊な光「光渦」を用いて半導体表面のねじれ加工を実現し,世界で初めてその形成メカニズムを2次元輻射流体シミュレーションにより解明し,加工構造物の形成過程を再現した(ニュースリリース)。

光渦とは,らせん波面をもつ特殊な光波であり,従来の光がもたない軌道角運動量を利用した物質を回転させる効果があることで,物質操作やレーザー加工技術の発展が期待されている。従来の光渦研究の主な関心は加工後の表面形状であり,加工現象過程に関する研究は皆無で,物質のねじれ形成は未解明だった。

研究では,光渦による物質のねじれ形成を明らかにするため,実験に使用する光渦の偏光状態を実測評価したうえでねじれ構造物の形成を実証し,さらに,レーザー生成プラズマの2次元輻射流体シミュレーションにより,プラズマ圧力と構造物形成の相関を世界で初めて明らかにした。

光渦は,2018年ノーベル物理学賞の光ピンセットの公転運動や2014年ノーベル化学賞の超解像顕微鏡の光源に用いられている。研究グループは今回の研究成果が,現在,研究者の中で議論されている「光渦が物質に与える効果」の解明に迫るもので,今後の光渦レーザープロセス技術の発展への貢献が期待されるとしている。

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