横浜国立大学は,異なる表示デバイス上であっても,分光分布を一致させることで色の見えが同じになることを実験的に証明した(ニュースリリース)。
我々の身の回りにはディスプレー,タッチパネル,印刷物などさまざまな表示媒体が存在するが,高い精度で色の見えを理論通りに制御できていない。この原因として,デバイス自体が異なること,眼光学特性等の個人差,錐体以外の光感受性細胞の影響が考えられるという。
研究では,任意の波長を自由に操作可能なマルチスペクトル光源を色票に照射し,ディスプレーから発せられる光の分光分布と同じ分光分布を色票上に再現することで,異なる表示デバイスから発せられる二つの光の色の見えが一致することを示し,デバイスの違い自体は影響しないことを世界で初めて実証した。
研究グループは,今世紀になって発見された光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)の色知覚への影響を明らかにし,現状の錐体のみに基づく色彩理論の再構築を目指すとしている。