リコーと受託開発のビフレステックは,リコーの室内光で発電する固体型色素増感太陽電池「RICOH EH DSSC2832」を搭載したマウスの共同開発を行なった(ニュースリリース)。多くの人に製品を体験してもらいたいとして,日本国内向けに10,000個限定で1,480円(税別)で,10月1日から販売する。
IoTデバイスは,「自動車・輸送機器」「医療」「産業用途」で高成長が見込まれている。リコーは,これらのIoTデバイスの遠隔操作や無線によるデータ通信に必要な超小型センサーに対して,固体型色素増感太陽電池によって安定給電できる,環境にやさしいIoT社会の実現を目指している。
今回,両社は持ち歩き時にも電池切れの心配がなく,使い捨ての1次電池を使用しない環境にやさしいマウス「SMART R MOUSE」(スマート アール マウス)の開発に取り組んできた。
リコーの固体型色素増感太陽電池は,複合機の開発で培った有機感光体の技術を応用して開発したもので,従来の液体型色素増感太陽電池における電解液を有機半導体材料等で構成しており,電解液を用いる電池が抱える液漏れや腐食といった安全性や耐久性に対する課題を解決した。
また,室内光源波長に適した有機材料の設計および,デバイス構造の最適化を実現することによって,照度の低い室内光でも反応し,発電性能を大幅に向上している。倉庫などの明るさの十分でない場所でも高効率の発電が可能だという。
満充電でマウスは約18時間動作するが,搭載した固体型色素増感太陽電池により,充電不要で使い続けることも可能だという。また,マウスの電池が切れてしまった場合でもUSBによる急速充電(90秒充電)により,すぐにマウスの利用を再開できる。
このマウスは,固体型色素増感太陽電池を一般向けに初めて実用化した商品。リコーの考える将来のバッテリーフリー社会を体現する一つの姿だとしている