農工大ら,レーザーで簡単にガラス表面をナノ加工

東京農工大学と独ゲッチンゲン・レーザー研究所は,ガラスの一種である「シリコン亜酸化物」表面に,高強度のフェムト秒レーザーパルスを照射するだけで,周期が200~330nmのナノ構造体を表面から直接削り出だせることを発見した(ニュースリリース)。

光の波長と同程度の大きさかそれよりも小さい構造体で「機能を持った光学表面」を実現できる。ガラスの表面に,直接このナノ構造体を作ることができれば,取り扱い易くて高機能な光学素子が実現できると期待されている。しかし,ナノメートルサイズの加工を行なうためには,これまでは半導体デバイス製造に使われている技術を使う必要があるため,製作工程が複雑であるという課題があった。

一方,フェムト秒レーザーパルスを複数パルス照射することによって,ガラス表面または内部にナノメートルサイズの周期構造体を直接形成する技術はあったが,高倍率かつ短焦点のレンズで集光するため加工できる面積が小さく,加工に時間がかかるのに加え,加工材料とレンズ間の距離が短いため,加工形状や大きさを制御できなかった。

研究グループは,「シリコン亜酸化物」薄膜を溶融石英基板上に堆積させた加工試料表面に,高強度のフェムト秒レーザーパルスを長焦点のレンズを用いて集光・照射した。その結果,集光スポット中心付近全体に周期が200~330nmのナノ構造体が自己組織化的に形成できることを観測した。このとき,レーザー照射部は他のガラス材料の場合と比べて一桁以上小さいエネルギー密度だった。

この現象の仕組みを調べたところ,高強度のフェムト秒レーザーパルスによって,シリコン亜酸化物表面内に高密度の電子が発生し,それによって電子の集団振動(表面プラズモン・ポラリトン)が励起され,それに付随して生じる高強度の光近接場によって固体表面が直接削り取られることを,実験と理論計算の結果により明らかにした。

この現象を利用すると,ガラス表面にフェムト秒レーザーパルスを照射するだけで数10nmから数100nmの溝や穴を掘ることができるため,複雑なプロセスや薬剤が不要な微細加工技術の実現が期待される。また,レーザー光を照射する位置を変えるだけで加工部分を移動できるため,加工材料の大きさに制限がなく,メートルサイズの領域へのナノ加工も容易という。

このような大面積領域にナノメートルサイズの微細加工を行える技術は他にはなく,例えば,メタマテリアル表面形成,構造色表面加工,MEMS用表面加工,広帯域の無反射表面形成,照明光源の指向性表面形成,X線用光学素子作製,構造化光発生用素子作製などへの応用も期待されるとしている。

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