Nano Retinaら,人工網膜の臨床試験に成功

人工網膜を開発するイスラエルNano Retinaと,ガラスマイクロボンディングを手掛けるフィンランドSCHOTT Primocelerの研究グループは,人工網膜「NR600 Artificial Retina Device」の暫定的な研究結果を発表した(ニュースリリース)。

世界中で数十万人が黄斑変性症や網膜色素変性症などの網膜変性疾患に苦しんでいる。これらの病気は,日常生活に重大な影響を与え,時に完全な視力喪失をもたらす。研究グループは今回,低侵襲性,高性能の網膜インプラントを開発し,最初の人体への試験を行なった。

「NR600」は,網膜変性疾患によって失明した人々に視力を回復させることを目的としている。眼鏡に搭載したレーザーで体外から電力を供給される超小型インプラントにより,リスクの低い外科的処置と迅速な回復時間を可能にする。今年初めにヨーロッパの患者で開始された最初の臨床試験では,5年間完全に暗闇の中にあった試験患者が,デバイスがアクティブ化されると視野の中心に画像が表示されることをすぐに報告し,彼女の手で彼女が見た画像のサイズを示したという。

SCHOTT Primocelerのハーメチックガラスウエハーマイクロボンディングは,このデバイスの超小型オールガラスカプセル化に使用された。ダイレクトレーザーボンディング方式により,極限までデバイスの小型化が可能となるが,これは人間の目の内部にインプラントを留置するための絶対的な要件となる。また,精密な光学性能には透明性が不可欠であるため,ガラス界面間に直接気密性の高いシールを作成する能力もこのデバイスには欠かせなかったという。

このデバイスを構成する非常に小さく複雑な電子部品は,熱にさらされると瞬時に破壊されてしまうが,ガラスウェハーマイクロボンディングの封止領域の熱影響領域は極小であるため,基本的には室温プロセスと同等となり,部品に損傷を与えるリスクのない密閉構造を可能にしたとしている。

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