韓国InssTekは,複数の金属パウダーを使用できるDED(Direct Energy Deposition)方式の金属3Dプリンターについて,日本でのマーケティングを開始した。
同社の主力製品である「MX-Standard」シリーズは,レーザー出力が1kW,2kW,3kWの3種類をラインナップしており,いずれも同社独自の積層技術である「DMT」を搭載する。この技術は2台のカメラによりメルトプールの高さをリアルタイムで分析,制御することができ,優れた機械特性,密度,構造を備えたプリントを可能にするという。
5軸加工ヘッドにより複雑な形状のプリントにも対応。また,カートリッジ式の光学システムの採用により加工ヘッドの光学系部分を簡単に交換が可能。これにより,ビーム径を800µm⇔1200µmに容易に変更することができる。
チタン,鉄,ステンレス,ニッケル,ハステロイ,銅,コバルトのパウダーに対応。パウダーのホッパーとフィーダーをそれぞれ3機ずつ搭載しており,異なる金属粉を供給することができるのも特長の一つ。
この機能により,同一ワークにおいて異なる材料を積層することができる。海洋で使用するバルブの作製例では,高温になる導管部分にインコネルを使用し,海水を浴びる外側には錆に強く安価なステンレスを使うことで,機能性の付与とコストカットが同時に可能となった。
こうした機能性が認められ,同社ではヨーロッパやロシアなど20台以上の納入実績がある。特にロシアでは宇宙用に導入され,人工衛星の球状チタン製燃料タンクなどの製造実績もあるとしている。
同社ではさらに,最大6種の異なる材料を供給するCVM(Clogged Vibration Method)システムを搭載した材料研究用シリーズ「MX-Lab」も取りそろえる。これは300Wのファイバーレーザーを搭載したモデルで,CVMにより6種類の金属粉のうち,任意のものを0.1~10g/min(Ti粉末でのデータ)のレートで正確に供給する。
これにより,複数の材料を任意の配合で混ぜた金属をプリントすることができる。供給量は漸進的に調整できるので,材料の割合をグラデーション状に変化させることも可能。新たな材料開発を効率的にすることができ,DED方式の特長を活かした装置だといえる。同社では日本での代理店を探しており,今後本格的に進出したいとしている。