NAGASEグループのフィンランドInkron Oy(Inkron)は,独SCHOTT,オーストリアEV Group(EVG)および英WaveOpticsと協業し,次世代デバイスとして開発が進む拡張現実(AR)/複合現実(MR)ウェアラブルディスプレー向けの光学部品の開発を進める(ニュースリリース)。
協業の対象となるのは,AR/MRウェアラブルディスプレーを構成する部品の一つである光導波路の大量生産を可能にする300mmガラスウエハープロセスの開発。この製品は,基板となるSCHOTTの高屈折ガラス(屈折率1.9),高屈折ガラスに適合するInkronの高屈折ナノインプリントコーティング材(屈折率1.9),EVGのナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術,そのNIL技術を利用して形成するWaveOpticsの独自設計の光導波路構造を組み合わせる。
同製品は,AR/MRウェアラブルディスプレーで広い視野角を実現し,利用者がより没入できる環境を実現する。また,ユニットあたりの生産コストを抑えるとともに,AR/MRに求められる超高精度の規格を満たすことが可能だという。WaveOpticsは,広視野角(対角線方向で15°~60°)で広いアイボックスをもつ回折光導波路技術のプラットフォームを提供している。
また今回の発表とは別に,Inkronは,ナノインプリント技術を用いた回折光学素子(DOE)の開発・生産において,EVGとの協業を発表した(ニュースリリース)。
対象となるのは,次世代デバイスとして開発が急速に進む拡張現実(AR)/複合現実(MR)向けデバイス用光導波路のほか,顔認証,自動運転等のセンサーに用いられる高性能ビームスプリッタおよびディフューザなどとしている。
Inkronは,超高屈折・超低屈折材料(屈折率範囲:1.1~2.0)を実現する技術を有し,高屈折ガラスと組み合わせて用いられる高屈折ナノインプリントコーティング材を開発・製造している。EVGはウエハー接合,薄ウエハープロセス,リソグラフィ/ナノインプリントリソグラフィ(NIL)や計測機器,フォトレジストコーター,クリーナー,検査装置などを手掛けている。