米コヒレントは,市販されているOne-BOXタイプのフェムト秒増幅器において,高エネルギー(9mJ@1kHz)を達成した「Astrella HE」を発表した(製品ページ)。
Astrellaシリーズは,一体型の構造であるため設置が容易で,投資コストと運用コストを抑える。新製品は,同シリーズの再生増幅器と同サイズで,コンパクトなOne-BOXデザインと使いやすい操作ソフトウェアを兼ね備えている。
パルス幅は35fsまたは100fsから選択可能。同シリーズの再生増幅器と同様,チタンサファイアレーザのオシレータとパルスグリーン(527nm)レーザーを励起源にしたシングルステージの再生増幅器で構成されている。これらすべて,One-Box(1247×755×262mm)内に収まっている。
チタンサファイアレーザー再生増幅のパワー/ エネルギーの向上における主な課題は,熱管理,特にゲインクリスタルの冷却にあったが,設計の最適化により,他では達成できなかった高エネルギーと優れたビーム品質(M2≤1.25)を提供する。
また,Coherent HALT/HASSプログ ラム(高加速寿命試験と高加速ストレススクリーニング)に基づいて設計されているため,産業用の連続フル稼働(24/7)での信頼性と安定性も両立した。
この製品を使用して複数のチューナブル光パラメトリックアンプ(OPA)を励起することで,複数の実験を同時に実行,あるいは複数の独立したチューナブルな波長を必要とする単一の実験を行なうとができるため,これまでは複雑でより高価なマルチボックス超高速アンプを用いて対処されていたようなアプリケーションへのハードルを下げることができる。
ウォーターウィンドウに近いEUV生成やレーザープラズマ加速などのアプリケーションは,このUFアンプで対処できるようになり,費用対効果が高く,コンパクトで信頼性の高いセットアップが実現できるとする。
これにより,EUVコヒーレント放射または,高エネルギー電子での産業診断,生物学,材料科学<およびマイクロエレクトロニクスへの応用が可能となるとしている。