NAIST,紫外線や放射線で変色する分子を開発

奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)の研究グループは,紫外光の照射により色が変化するフォトクロミック分子について大幅な高感度化を実現する技術と,同じ電磁波でより波長が短い放射線に対しても従来の1,000倍の高感度化する技術の開発に成功した(ニュースリリース)。

高感度紫外光反応:研究グループが開発した高感度フォトクロミック分子では光照射に伴って分子構造が変化し,無色から青色へ変化し,さらに青色状態に可視光を照射すると無色状態へ変化する。この無色⇔青色の状態変化は繰り返し行なうことができる。

研究グループはこれまで,青色状態に電気を流すと無色状態に変化する現象とその20倍の増幅効と,電気を流す代わりに化学酸化剤を使うことで,1,000倍の増幅が可能であることを発見している。さらに今回,酸化されやすい分子を化学合成した。

その結果,開発した分子を青色状態に変化させたのちに,酸化力がある塩素などのハロゲン元素を含む溶剤中で紫外線照射を行なうと,効率よく無色状態に変化することを見出した。紫外線照射に伴ってハロゲンが反応に関与し酸化反応が起こるため,無色状態へと変化する。

この際には1つの光子が33個の分子の反応を誘起する(反応量子収率3,300%)という,紫外光に対してかつてない高感度を見出した。この結果から,有機分子としては世界最高の紫外線に対する光感度を有していることがわかった。

さらに,ハロゲンを含有する溶剤中にこの分子を溶かし青色の溶液を調整し,X線を照射すると青色状態から無色状態へ変化する現象が見出された。この検討の結果から,紫外線に対して高い感度を示した分子がX線に対しても高い感度を有していることがわかった。

さらに,照射線量に応じて,反応の速さが変化することが見出された。すなわち,100mGyの照射線量では15分程度でほぼ反応が完了する一方で,1mGyでは反応に要する時間が長くなる。反応の速度と照射線量の間には直線関係がみられ,反応の速度から照射線量を見積もることが可能になった。

これらの結果から検出できる最小の線量は0.3mGy程度と見積もられた。これは従来の有機分子の感度に対して1,000倍に相当することが明らかになった。

今回開発したフォトクロミック分子は光に応答する反応において高い増幅性を有するため弱いX線を高感度に検出することが可能で,放射線作業中の微弱な被爆を検出する安全管理などX線の見える化技術につながるものとしている。

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