東北大ら,放射光で小惑星の氷の痕跡発見

東北大学,京都大学,立命館大学,中国科学院,海洋研究開発機構,高輝度光科学研究センター,ロンドン自然史博物館の研究グループは,炭素質コンドライト(太陽系誕生当時やそれ以前の物質を保存している隕石グループの総称)の一つAcfer 094隕石の内部を観察し,氷が抜けてできたと考えられる小さな空間を多数発見した(ニュースリリース)。

太陽系の雪線(太陽系内でH2Oが水蒸気から氷となる領域の太陽からの距離)より外側の低温領域で形成した小惑星は,形成当時,氷を含んでいたと考えられており,小惑星由来の隕石には,氷が融けて生じた水と岩石との相互作用によって形成した含水鉱物が多く見つかっている。

しかし,水の素となった氷が小惑星内にどのように分布していたのかは,よくわかっていなかった。そこで研究では,放射光X線CTにより小惑星の氷の痕跡(氷が抜けてできた空間)を隕石中に発見しその分布の様子を明らかにした。

氷は,雪線付近で宇宙の塵が焼結作用(温度上昇により宇宙の塵(氷–ケイ酸塩粒子の多孔質な集合体)に含まれる氷が昇華し,再び塵の表面に凝縮する現象)を受けてできた“氷とケイ酸塩粒子の塊”として小惑星に取り込まれ,その後,氷部分が融けて無くなることで今回観察されたマイクロサイズの空間が生じたと考えられるという。

研究グループは今回,これらの発見をもとに,小惑星が太陽系内を外側から内側へ移動しながら、氷を含む塵を集積して成長する新たなモデルを提案した。

こうした太陽系初期の氷–岩石天体の形成過程に関する新たなモデルは,今後の隕石やリターンサンプル分析結果の解釈に新たな視点を加える点で重要だとしている

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