矢野経済研究所は,駐車支援/自動駐車システム世界市場の調査を実施し,駐車支援/自動駐車システムと搭載されているセンサー(ビューカメラ,超音波センサー)の市場概況,技術動向,個別メーカーの事業戦略を明らかにし,2030年までの駐車支援/自動駐車システムの世界新車搭載台数を予測した(ニュースリリース)。
それによると,2018年における駐車支援システムの世界市場規模(新車搭載台数)は667万8,000台となった。そのうち,ステアリング操作を自動化している駐車支援システム(セミオート,ステアリングとブレーキ操作の両方を自動化しているタイプの装着台数含む)が市場全体の80%以上を占めており,ステアリングだけでなくブレーキとアクセル,シフトレバーも自動化している駐車支援システム(フルオート)は高級車を中心に緩やかに増加しているという。
2019年についても引き続き装着率は上昇しており,フルオート・セミオートの両方を合わせた,2019年の駐車支援システム世界市場規模(新車搭載台数)を857万7,000台と予測する。
現在量産されている駐車支援システムの空間認識(駐車スペースの検知)は,サラウンドビューカメラ,超音波センサーのどちらかを使用している。
ビューカメラベースの駐車支援システムは,白線を検知して駐車スペースを認識する仕組み。白線がない場合は駐車支援システムは作動しないが,駐車場の白線が整備されている日本市場では特に有効だという。超音波センサベースの駐車支援システムは,他の駐車車両を検知して,その間の空間を駐車スペースとして認識する。白線がない場所や暗闇でも駐車支援システムは作動するが,駐車車両がないと駐車スペースの認識ができないために,駐車支援システムも作動しない。
このように2つの方式は一長一短があるが,すでに両方のセンサーをフュージョンさせた駐車支援システムの実用化が一部の車種で始まっている。今後は「踏み間違い防止」や「低速AEB(自動ブレーキ)」などで超音波センサの標準化が進むために,超音波センサーにサラウンドビューカメラの認識情報をフュージョンさせた駐車支援システムの搭載が進展する見込みだとしている。
2030年における駐車支援/自動駐車システムの世界新車搭載台数は5,330万3,000台に達し,世界新車販売における搭載率は40%台に上昇すると予測する。タイプ別に内訳をみると,セミオートとフルオートを合計した駐車支援システムが3,724万台,ドライバー監視不要の自動駐車システム(SAE[米国自動車技術協会]の自動運転の基準ではレベル4に該当)が1,606万3,000台に拡大する見通しだという。
2023年以降は,日米欧中各国において駐車支援システムの設定車種は増加し,2025年以降にはセミオートからフルオートへの置き換えが進むという。自動駐車システムについては,ISO(国際標準化機構)によるガイドラインが整備され,V2X(Vehicle to Everything)などの普及が進む2026年以降から本格的に市場が立ち上がり,自動運転レベル4の商用車(カーシェア車両や公共交通バス,配送車両)において搭載が活発化すると予測する。