金沢大学の研究グループは,短時間ガンマ線バーストに付随するX線超過成分の統一的な減光モデルを発見した(ニュースリリース)。
宇宙空間のはるか遠くにある天体やブラックホールなどの存在を確認することは,宇宙の成り立ちを解明する上で非常に重要となる。これまでは天体から届くX線やガンマ線といった電磁放射線の観測がその唯一の方法だったが,それに加えて重力波の検出から得られる情報を活用することで,さらに確度の高い観測が可能になると考えられてきた。
特に,ブラックホールや中性子星などの高密度天体同士の連星合体は,非常に強い重力波が放射されると同時に短時間ガンマ線バーストも発生すると考えられていることから,絶好の観測ターゲットとなる。
研究では,複数の短時間ガンマ線バーストイベントに付随するX線超過成分の系統的なデータ解析から,X線超過の時間変動が指数関数的な減光で統一的に記述し得ることを発見した。
また,X線の減光率と光度との間に強い負の相関関係が示され,暗いX線超過イベントほどエネルギーの放射効率が悪いという特徴を持つことが確認された。
さらに,X線の指数関数的な減光から,連星合体後に形成される中心天体や合体の衝撃で周辺にまき散らされる物質の運動に対しての示唆が得られており,ガンマ線バーストのエネルギー源などの解明やブラックホールが形成される際の強重力環境の理解につながることが期待されるとしている。