三菱電機は,最新のセンシング技術とHMI(Human Machine Interface)技術を搭載したコンセプトキャビン「EMIRAI S(イーミライ エス)」を開発した(ニュースリリース)。
このコンセプトキャビンでは,最新の生体センシング技術により,安全・安心な移動を支援する。脈拍に伴う血流量の変化により肌の明るさは絶えずわずかに変化しており,この明るさの変化をDMS(Driver Monitoring System)の近赤外線カメラで検知することで,専用の脈拍センサーを使うことなく非接触で脈拍を計測できる。
脈拍と温度センサーで得られる体表温度を組み合わせて解析することで,ドライバーや乗員の状態を推定できるとし,ドライバーの疲労や眠気,体調急変といった状態をより正確に検知し,安全な場所への自動停車による事故防止や,各乗員の状態に応じた空調・照明・音響などの車室内環境の最適化に応用できるとしている。
また,座席横に設置したディスプレーの上部に広角の近赤外線カメラとアレーマイクを内蔵し,カメラで捉えた話者の口の位置や動きとアレーマイクで収音した音声を組み合わせて分析し,どの座席の人が・いつ話したかを高精度に判別。コンセプトキャビンへの要望だけを認識し,快適なコミュニケーションを支援するという。
さらに,2つの液晶パネルとハーフミラーを組み合わせることで浮遊感・奥行き感のある映像を表示するクロッシングディスプレイを大型化した「ワイドクロッシングディスプレイ」と,複数の機能をシンプルに操作できる「リングノブオンディスプレイ」を組み合わせ,高い視認性と操作性を実現している。
同社では,MaaS(Mobility as a Service:移動を一つのサービスとしてとらえた新たな概念)社会では,自動車は,単なる移動手段から移動時間を有効活用できるモビリティーへ進化するとし,Shared,Service,Safetyの概念を組み合わせたこのコンセプトキャビンを開発したとしている。