凸版,遠隔体験ウェアラブルデバイスを開発

凸版印刷は,遠隔体験技術「IoA仮想テレポーテーション®」を活用し,遠隔観光体験,スポーツ観戦,リモート・ワークなどの用途を想定した,遠隔地にいる人と体験を共有できるウェアラブルデバイス「IoAネックTM」を開発した(ニュースリリース)。価格は,1台ひと月30,000円~。

IoA(Internet of Abilities:能力のネットワーク)は,人間とテクノロジー・AIが一体化し,時間や空間の制約を超えて相互に能力を強化することを実現する未来社会基盤。同社は東京大学との共同研究の成果をもとに,IoA仮想テレポーテーションの開発を行ない,2019年4月より企業向けにサービスを開始している。

今回開発した製品は,前面に搭載された端末から映像やさまざまなコンテンツの送受信が可能で,身につけた人が見たり聞いたりしたものを,遠隔地にある画面を通じて同時に体験ができる。

またこの製品は,装着部分が振動する「ハプティクス」(触覚を主とした利用者に力,振動,動きなどを与えることで皮膚感覚フィードバックを得るユーザーインターフェース技術)で指示を出すことが可能。

遠隔地で画面を見ている人が,コントローラーを通じてこの製品を振動させることで,進行方向や向きの指示を出せる。これにより,言葉を介さなくてもコミュニケーションを図ることができる。さらに5G通信との組み合わせにより,高精細・低遅延・インタラクティブ性な遠隔体験を提供するという。

なお,この製品は,Jリーグ公式戦(2019年9月28日開催)で初導入され,実際にスタジアムに足を運ぶことが困難な鹿島特別支援学校の子供たちを遠隔地から試合へ招待する取り組みに活用される。

この取り組みは,NTTドコモと同社が連携して行なう。鹿島特別支援学校の体育館と茨城県立カシマサッカースタジアムをつなぎ,4K映像を中心とした高画質映像やこの製品を活用したスタジアム巡り体験により,スタジアムを体育館に再現する。

同社は,今回の製品を始めとしたIoA仮想テレポーテーションによる遠隔体験ソリューションや関連するビジュアルソリューションでの利用を進め,需要が見込まれる,スポーツや教育,観光,不動産分野への導入を進め,2025年度までに関連受注含め50億円の売り上げを目指すとしている。

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