大阪大学の研究グループは,目の動きを解析することで簡単に認知機能を評価する新技術を開発した(ニュースリリース)。
これまで認知症の診断は,医師との対面方式による問診法をベースにした認知機能評価をもとに行なわれてきた。この方法では検査に時間がかかり,また検査を受ける人の心理的負担が大きいこと等が問題となっていたが,問診法以外の方法で認知機能を正確にスコア化することは難しく,効率的な認知症スクリーニングは難しいとされてきた。
今回,研究グループは,視線検出技術(Eye-tracking:赤外線カメラ等を用い被検者が画面上のどこを見ているかを高精度に検出・記録する方法)と認知機能評価映像(ワーキングメモリー,判断力,記憶,空間認知機能などの各認知機能を評価するためのタスク映像)を組み合わせることで,映像を眺めるだけで,その視線の動きから認知機能を簡便に評価する方法の開発に成功した。
この方法は,モニターの前に座って映像を2分50秒眺めるだけの極めて簡単な検査で,認知機能の客観的な評価を行なうことができる。これによって効果的な認知症スクリーニングが可能になり,認知症の早期診断や予防に繋がる可能性が期待できるという。
研究グループは,誰でも簡単に認知機能をチェックできる方法として,認知症予防への取り組みや高齢者による運転免許の許可などさまざまな形での社会実装が期待できるほか,言語の介在をあまり必要としない検査法であるため,グローバル展開も予定するとしている。