大阪大学,摂南大学,京都大学の研究グループは,自由電子レーザー(FEL)を用いることで,レーザー照射による最小加工サイズの記録を更新した(ニュースリリース)。
光の波の振動方向が揃った直線偏光のレーザーを物質に当てたとき,回折限界を超えた周期間隔の構造が物質表面にできる現象にLIPSS(レーザー誘起周期表面構造)がある。
LIPSSは偏光方向によって周期構造の方向が変わったり,波長によって周期構造の間隔が変わるため,単なるレーザー加熱効果だけでは無い非熱的な現象としてその発生原理に興味が持たれている。
これまで,LIPSSは近赤外線フェムト秒レーザーを用いてのみ研究され,波長の半分弱程度までの構造形成に成功し,いくつかの構造形成モデルが提唱されてきたが,完全には解明されていなかった。
今回,遠赤外・テラヘルツ自由電子レーザーを用いて回折限界を大きく超えた,波長の1/25のサイズの縞状構造(LIPSS)を半導体シリコン表面に制御加工することに世界で初めて成功した。
この研究は,目的の実験をやり過ぎた(強すぎるレーザー光照射をした)ことで,目的と異なった結果から発展したものだという。
研究グループは,今回の研究成果を起点として新たなレーザー加工メカニズムの解明が実現すれば,新しい領域での材料加工が可能となり,デバイス開発などの分野で大きく社会に貢献できるとしている。