2025年製造ロボット市場,2.5倍の2兆8,675億円に

富士経済は,人手不足や人件費高騰を背景にスマートフォン関連,EMS,自動車関連に加え,産業機器や食品,衣料品,化粧品などさまざまな分野で需要が増加している製造業向けロボットの世界市場を調査し,その結果を「2019ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望No.1FAロボット市場編」にまとめた(ニュースリリース)。

この調査では,製造業向けロボット16品目,半導体・電子部品実装向けロボット11品目,ロボット向け注目構成部材11品目,IoT・AI・サービス4品目の市場を調査・分析し,将来を展望した。

これによると2018年の製造業向けロボット市場は,中国でスマートフォン需要に落ち着きがみられたほか,米中貿易摩擦の影響から設備投資が低調となり,成長が鈍化したものの拡大したという。

2019年はスマートフォンの新機種向けで需要の回復がみられるほか,米中貿易摩擦の影響緩和や停滞している案件が進むとみることから,引き続き拡大を見込む。世界的な人手不足の深刻化と人件費高騰により,ロボットの活用は一時的なブームにとどまらず今後も広がっていくとみて,2025年は2018年比2.5倍の2兆8,675億円になると予測する。

分野別でみると,組立・搬送系で大幅な市場拡大が期待できる。現状では自動車関連,スマートフォン関連での需要が大きいが,さまざまな分野において人手不足が深刻化しており,自動化ニーズが広がっていくとみる。アクチュエータ系ロボットはスマートフォン関連以外の電子機器や産業機器,食品など多くの分野で活用が広がっている。

溶接・塗装系ロボットは自動車関連を中心に伸長している。自動車の需要は今後も世界的に増加するとみており,それに伴いロボット市場も堅調に拡大すると予測する。

クリーン搬送系ロボットは,スマートフォン需要が一巡したことやストレージ,データセンター向けなどで設備投資が抑制されている背景から2018年,2019年と市場は縮小するものの,中長期的にスマートフォンの需要が再び増加することやクラウドサービスの活発化,IoTセンサーの普及,5G通信インフラの整備などを背景にロボット需要の増加が期待できるという。


注目市場のヒト協調ロボットでは,人手不足を背景としたロボットによる自動化ニーズは底堅く,人の作業工程,作業スペースにそのまま置き換えが可能なヒト協調ロボットの採用が進んでいる。

欧州のメーカーが市場をけん引してきたこともあり,欧州が最大のマーケットとなっているが,2017年以降,多くの日系メーカーが市場参入したことで,日本市場は大きく拡大している。2018年は後半の景気後退の影響を受けて成長率が鈍化したものの,ほかのロボットと比較すれば市場は大きく拡大している。今後は安定した人手の確保はもちろん,生産量の増減への柔軟な対応といった視点からも需要が高まっていくと推測する。


IoT・AI・サービスは,ロボット制御ソリューション,ヒト協調ロボットレンタルサービス,予知保全システム・サービス,製造業向けロボットアフターサービスを対象とする。

人手不足解消や生産性向上のため,製造業におけるIoT・AI・サービスが注目されている。ロボット制御ソリューション,ヒト協調ロボットレンタルサービス,予知保全システム・サービスは,現在は小規模なトライアル案件が多いものの,今後効果の検証を終え,本格的に導入が進むとみる。

IoTやAI技術,ビッグデータなどを活用することにより高度な自動化案件や,幅広いユーザー層に展開することが可能となる。また,製造業向けロボットアフターサービスは既に成熟市場であり,急激な拡大は期待できないものの,ロボット需要の増加により自動車関連を中心にシステムアップ,修理,メンテナンス需要が増加しているという。


ロボット制御ソリューションは市場が立ち上がったばかりで,研究開発が中心となっている。ビンピッキングなど高度な自動化案件では複雑なプログラミングが要求され,ユーザーの大きな負担となっているため,AIを活用したプログラミング負荷の低減が進められている。

今後ロボットメーカー,ITベンダー,ベンチャー企業などが多数参入してくるとみて,技術的な完成度が高まり,実用化が進むことで市場は拡大していくと推測する。


ロボットビジョンシステムはロボットが対象物や周辺環境を識別するための視覚機能。主に2D方式を中心に構成されているが,近年は計測やビンピッキングなどの用途により3D方式への関心が高まっている。

2018年はロボットの市況が影響し,市場成長が鈍化したが,高度な自動化を実現する上で必要不可欠な製品で,2020年以降,再び成長ペースを高めていくとみる。ロボット市場をけん引するアジアを中心に,当面は安価な2Dロボットビジョンシステムによる位置決めや,組み立ての工程などにおいて導入が進むとみる。日本,米州,欧州などでは,より高度な3Dロボットビジョンシステムが先行して採用が進むとみている。

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