富士フイルムら,AIで肺炎CT画像を分類・定量化

富士フイルムと京都大学は,人工知能(AI)技術を用いて間質性肺炎の病変を高精度に自動で分類および定量化する技術を共同で開発することに成功した(ニュースリリース)。

肺は,「肺胞」で酸素を取り込み,二酸化炭素を排出する。この肺胞に炎症や損傷が起こり,肺胞の壁が厚く硬くなる病気が間質性肺炎。間質性肺炎には,関節リウマチのような膠原病やじん肺,薬剤性肺炎など原因が明確なものと,原因が特定できない特発性間質性肺炎(IIP)がある。

特発性間質性肺炎は,治療が困難な指定難病であり,特発性肺線維症(IPF)をはじめ,いくつかの病型に分類される。IPFを診断する有力な検査の1つである胸部CT画像では,複雑で多彩な異常所見が見られることが多く,発症の初期段階で病名を確定することが難しい場合や,医師が治療前後に,CT画像の病変の性状を目視などで比較し,経過観察しながら病名を確定して治療方法を選択していく場合がある。

また,IPFは,病気の進行に伴ってCT画像に写る病変の性状が徐々に変化することが知られており,中には「急性増悪」と呼ばれる急激な病状の変化があるため,「急性増悪」の予兆を早期に発見することが重要となる。さらに,近年,IPFに対して,肺が硬くなるスピードを抑える抗線維化薬が市販され,その治療効果を画像上で定量的に評価したいという医師のニーズも高まっている。

今回共同開発した技術は,AI技術を活用したソフトウエアが,CT画像から肺野内の気管支,血管,正常肺および,網状影やすりガラス影,蜂巣肺など肺の7種類の病変性状を識別し,自動で分類・測定することで,間質性肺炎の病変を定量化するもの。さらに,肺野内における病変の分布と進行状態が詳細に確認できるよう,肺野を12の領域に分割し,その領域ごとに,病変の容積および割合を表示する。

研究グループは,2018年春からこの技術の開発に関する共同研究を開始。富士フイルムが開発した間質性肺炎の病変を分類および定量化するAI技術を,京都大学が保有する症例データに適用し,識別性能の評価と改善のフィードバックを繰り返し実施。各性状が取りうる画像パターンのバリエーションを分析し,さらに改良することで,高精度な識別性能を持つ今回の技術を実現したという。

今回開発した技術は,今後,間質性肺炎の画像診断補助や,病状経過におけるCT画像陰影の変化を定量値で客観的に評価など,多くの臨床応用の可能性が期待できるとしている。富士フイルムは,2020年度中に,自社の医療機関向けシステム上で,この技術を使用できる画像診断支援機能の実用化を目指す。

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