2018年12月,ブロードバンドサービス分野に関わる業界団体Broadband Forum(BBF)において,光アクセスシステムの適用領域を格段に拡充する「帯域割当制御(DBA)機能」のソフトウェア部品化を実現するAPI仕様を規定した国際標準が公開された(ニュースリリース)。
日本電信電話(NTT)および中華電信は,BBF会合においてDBA機能のソフトウェア部品化のユースケースについて共同で提案し,さらにAPI仕様の国際標準化に取り組んできた。この国際標準により,低遅延性が要求される第5世代(5G)以降のモバイルシステムの基地局収容など,さまざまな用途で共通の光アクセスシステムを用いることが可能となる。
BBFでは,アクセスシステムの機能部品化を実現するために必要となるアーキテクチャ,インタフェースおよびプロトコルの仕様化が活発に行なわれてきた。NTTもさまざまなパートナーと共通的に使用できる同APIの普及促進を図るため,2016年10月BBFにて新規プロジェクトストリーム(PON Abstraction Interface for Time-Critical Applications)を立ち上げ,同プロトタイプ検証機の開発から得られた知見に基づき,さまざまなパートナーと同API仕様の国際標準化に取り組んできた。
今回,仕様化し公開されたBBF国際標準は,2つの文書「Technical Report」(TR)402および403から構成されている。TR-402では,5G以降のモバイルシステムの基地局収容を含むユースケースなどDBA機能のソフトウェア部品化に関する概要と,同APIの機能要件が規定された。また,TR-403では,同APIの詳細(フォーマットおよび性能要件)が仕様化された。
5Gの要求条件であるサブミリ秒オーダでの高速処理が求められるDBA機能は,ソフトウェア部品化が困難とされてきたが,光アクセスシステムの性能をつかさどる重要な機能となる。NTTは,DBA機能の部品化を実現するAPI仕様が国際標準として普及することにより,光アクセスシステムの適用領域拡大に大きく貢献できるとしている。