NEDOら,CIS系太陽電池で変換効率を更新

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とソーラーフロンティアは,カドミウムを含まないCIS系薄膜太陽電池セル(約1cm2)によって,CIS系薄膜太陽電池を開発し,世界最高のエネルギー変換効率となる23.35%を記録した(ニュースリリース)。

太陽電池のエネルギー変換効率向上は,太陽光発電のコスト低減に大きく寄与するため,世界中の企業,研究機関が取り組んでいる。また太陽電池の中でも特に,CIS系薄膜太陽電池は,現在主流である結晶シリコン系太陽電池よりも薄く成膜できるという特長があることから,省資源で製造に要するエネルギーも抑えられるとして,さらなる変換効率向上が期待されている。

今回,ソーラーフロンティアは,NEDOプロジェクトにおいてカドミウムを含まないCIS系薄膜太陽電池のうち約1cm2のセルで,世界最高のエネルギー変換効率である23.35%を記録した。この値は,2017年11月に同社が記録したカドミウムを含むCIS系薄膜太陽電池セル(約1cm2)での世界最高変換効率22.92%をも約0.4ポイント上回り,全てのCIS系薄膜太陽電池において世界最高の変換効率となるものという。

今回の研究は,同社がこれまでNEDOプロジェクトで取り組んできた,CIS光吸収層の改良や光吸収層表面処理などのCIS光吸収層の高品質化技術と,環境負荷の大きいカドミウムを含まないセル作製技術などについてそれぞれ高度化を行ない,それらを最適な条件で融合させることで達成されたもの。これは,NEDOが目指す高性能と高信頼性を兼ね備えた太陽電池による発電コストの低減に向けて,大きな前進となるとしている。

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