三菱電機は,プロジェクター用光源の新製品として,赤色高出力半導体レーザー「ML562G86」を2019年4月1日に発売する(ニュースリリース)。サンプル提供開始は2019年1月11日。サンプル価格は1万円。
プロジェクターの光源は,従来の水銀ランプ光源から,高効率・高い色再現性・長寿命の特長をもつ固体光源に移行している。半導体レーザーは,電力変換効率が高いので消費電力が抑えられ,表示色範囲の拡大や高いコントラスト比による画質向上ができることから,固体光源のなかでも半導体レーザーへの置き換えが進んでいる。今後はプロジェクターだけではなく,液晶より鮮やかな映像を表現できる利点を活かして,レーザーTVへの展開も期待できる。
同社は,プロジェクターの光源となる3色の半導体レーザーのうち,赤色の高出力半導体レーザーとして,波長638㎚・パルス光出力2.5Wとなる製品「ML562G84」を2015年から販売している。しかし,従来製品においては3.0W以上の高出力状態で駆動を継続すると,レーザーの発光面において結晶が溶解する劣化が発生するため,製品が故障するまでの平均時間の信頼性指標であるMTTFで2万時間を達成することが困難だった。
今回同社は,これまでのプロジェクター用レーザーで培ってきた発光面の劣化抑制技術に改良を加えた半導体レーザーを開発。この製品は,レーザー素子の構造や製造プロセスの改良により,従来比20%増となる世界最高のパルス駆動光出力3.0Wを実現し,MTTFで2万時間以上を達成した。また,視感度の高い波長638nmにおける高出力化により,レーザーダイオ-ド1個あたり従来比20%増の約145 lm相当の光源の構成を可能とし,プロジェクターの高輝度化に貢献する。
さらに,放熱性の高い大型のφ9.0mmTO-CANパッケージにより,パルス駆動光出力3.0Wをケース温度0~45℃の広い動作温度範囲で実現。上限のケース温度55℃の高温動作において,世界最高のパルス駆動光出力2.1Wも実現した。広動作温度範囲で冷却構造の簡素化が可能となり,プロジェクターの小型化や冷却ユニットの低コスト化にも貢献するとしている。