ウシオ電機は,従来比5倍の高照度でありながら60%のダウンサイジングを実現した,半導体製造プロセス向けエキシマ光照射ユニットの開発に成功した(ニュースリリース)。同製品は2019年度中に販売開始の予定。
近年,モバイル機器やIoT向けをはじめとした半導体デバイスでは,製造プロセスでのさらなる微細化・高集積化・歩留まり向上といったニーズに加え,環境負荷の高いガスや薬液の使用量を減らす動きも強く,製造プロセスの変更や改良による技術革新が求められている。そのため基板等へのダメージや環境負荷低減などの理由から,現在ドライ洗浄や表面改質,アッシング等のプロセスにおいて,エキシマ光を用いたプロセスが注目されている。
しかし,半導体製造において高生産性を実現するためには高照度な光源が求められるが,従来のエキシマ光照射ユニットでは,装置1台あたりの搭載ユニット数を増やさねばならず,その結果,装置内のスペースを占有してしまうという課題があった。
この製品は,光の取り出し効率を向上させることで従来比5倍の高照度化を実現し,装置への搭載台数を従来の1/5にすることができる。また,ランプを短くしながらも従来以上の露光量均一度を得ることに成功。ランプ長手方向を極限まで短縮することにより,ユニット自体もコンパクト化ができる。ユニット交換方式とすることで,照度目標値と実際の照度のずれが少なく,ワーク/ロット毎の光量ばらつきが低減する。さらに,冷却効率の改善により,窓面温度を低減することで更なる低温処理が可能となった。
これらにより,従来の処理方法で生じていた基板へのダメージや環境負荷の低減が実現できるだけでなく,既存プロセスと組み合わせることで,デバイスの微細化・高集積化へ向けた技術革新が可能になる。さらに,光源ユニットの搭載台数や装置内の光源ユニットのスペースも削減できるため,スペースの有効活用やTCO(総保有コスト)の大幅削減が可能となるという。