日本電信電話(NTT)は,FTTH(Fiber to the Home)サービスで用いられている光アクセスシステムの性能をつかさどる「帯域割当制御(DBA)機能」を「ソフトウェア部品化」した局内装置(OLT)プロトタイプ検証機を実現し,サービス要件に応じてDBA機能を入れ替える実証実験に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。
DBA機能(Dynamic Bandwidth Assignment)とは,ポイントツーマルチポイント型の光アクセスネットワークにおいて,多元接続される宅内装置(ONU)からの上り信号の衝突回避を実現するために,局内装置(OLT)により各ONUからの上り信号の送信タイミングと割当て帯域量をスケジューリングする帯域割当制御機能。
NTTはこれまでに,将来光アクセスシステムの新コンセプトFASA(Flexible Access System Architecture)を提唱し,アクセスシステムを構成する機能の部品化について研究開発を進めてきた。
今回の検証では,リアルタイム性が高くソフトウェア部品化が難しいとされていたDBA機能を,サービス要件に依存するソフトウェア部と依存しないハードウェア部とに分離し,API(Application Programming Interface)を介して連携・制御する形で,ソフトウェア部品化に成功した。
この技術を,5Gモバイルシステムと連携する「低遅延光アクセス技術」と組み合わせることにより,5G時代の多様なサービスに迅速に対応する光アクセスシステムが実現できるとする。DBA機能に加え、さまざまな機能のソフトウェア部品化を進めることにより,ハードウェアを大幅に作り直すことなく,ソフトウェア部の開発および入れ替えのみで,多様な要件への低コストかつ迅速な対応が可能となるという。
この技術により,低遅延性が要求される第5世代(5G)以降のモバイルシステムの基地局収容など,さまざまな用途で共通の光アクセスシステムを用いることが可能となる。
ソフトウェア部品化を実現するAPIについては,さまざまなパートナーと共通的に使用できるようにするため,Broadband Forumでの標準化にも取り組んでいく。同社は今後も,光アクセスシステムの適用領域を拡充する研究開発を進めていくとしている。