スパッタリングターゲットを製造する鑫科材料科技(TTMC)は,台湾最大の鉄鋼メーカー中国鉄鋼(CSC)のグループ企業。主力製品は,TFT-LCD向けターゲット材で,台湾ディスプレー業界においてAUOやInnoluxといった大手を抑え50%のシェアを持つという。また,日本企業ではシャープに供給を行なっている。
同社は板状のターゲット材の他,使用効率の高いロータリータイプも扱う。素材も一般的なアルミやチタンなどに加え,第8世代以上の大型LCDディスプレーで用いられる銅を加えたものも製造している。
同社は2000年設立で,CDやDVDディスク向けの材料からスタートしている。その後,それまで日本からの輸入に頼っていたTFT‐LCD向けのスパッタ材を国内企業向けに安価に供給することを目的として開発を進め,現在の地位を築いてきた。
現在は上記のスパッタ材のほか,3Dプリンター向けの金属粉末の生産も行なっている。主に口腔外科向けのクロム,形成外科向けのチタンを製造している。
落ち込みが続いていた台湾のLCD生産量だが,現在は落ち着いて横ばい状態だという。同社は中国に子会社を持つほか,その品質と営業努力により,こうした状況におけるTFT‐LCD向け材料の売り上げについて,昨年度比10%増を達成している。
同社の強みとして,金属メーカー子会社であることによる,一貫製造,品質の管理,コントロールがあるという。また,小ロットのオーダーメードにも対応し,台湾の国立研究所とのつながりも強く,日本からのそうした受注にも対応できるとしている。
同社では現在,今後を見据えてマイクロLEDディスプレーの導電層に向けた開発を進めており,ディスプレーメーカーと研究を行なっている。また,使用済み材料を回収して様々な金属製品にリサイクルなど,環境問題にも力を入れている。