OIST,プラズモンによる細菌の薬剤耐性試験を開発

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は,新たな細菌の薬剤耐性を試験する方法を開発した(ニュースリリース)。

細菌が持つ抗生物質へ薬剤耐性が新たな脅威をなっているが,新たな細菌対策を評価するため,研究グループはバイオフィルムと呼ばれる細菌同士が集合して形成する粘っこい膜状の形態に着目した。

バイオフィルムは細菌への有利な生育環境を生み出し,さらには既存の抗生物質への耐性を生み出す役割としても機能する。 研究グループは,バイオフィルムが形成される動的な過程に注目。この過程は,細菌がバイオフィルムの成分を分泌する複数の生化学的な反応に基づく。これらの反応を理解するために必要な情報を寄せ集めることで,細菌に対する薬剤や化合物の有効性を評価できる。

しかし,これまでは,バイオフィルムの形成過程を詳細に調べるために必要な連続的な観察や測定を可能とする,理想的な観察手法が無かった。そこで研究グループは,ナノスケールの効果を利用した。これは,ナノ構造を持つ基板型のセンサー技術を細菌の薬剤耐性を調べる測定方法に応用したもので,センサーの表面は,酸化シリコンの幹の上に金の粒子が付いたキノコ形状のナノ構造(キノコ型ナノ構造)で覆われた特殊な構造を有している。

実験で使用したキノコ型ナノ構造は,白色の光を照射すると特定の色の光を吸収する性質を有する。これはナノ構造から生み出される「局在表面プラズモン共鳴」によるもの。この原理を応用すると,センサー基板の表面から裏側に透過した光のスペクトルを測定することで,細菌の増殖量の測定が可能となる。この測定方法の場合,観察対象を邪魔することなく,また細菌の増殖過程に影響することもないとする。

現在,ナノ構造,生物工学,プログラミング技術という3人により,多くの研究現場で利用が可能となる卓上型の装置の開発を進めているという。また,研究グループは幅広い応用を目標に,持ち運び可能な小型装置の開発も計画しているという。

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