「人とくるまのテクノロジー展2018」では,メカレス,小型,軽量という特長から次世代LiDARとして注目されているフラッシュLiDARの出展が見られた。フラッシュLiDARを含むソリッドステートLiDARの有力開発メーカーは,自動車メーカーに資金援助等を通じて囲い込まれていることから開発状況は見えてこないが,自動車業界の一次サプライヤーである海外のティアワンでは逆にロードマップを提示していた。
独Continentalは,3DフラッシュLiDARの開発品を公開した。同社は2016年に,米Advanced Scientific Concepts社(ASC)からLiDAR事業を買収している。解像度等の詳細は非公開だが,視野角は120°,30fpsのフレームレートで点群データを生成する。ショートレンジモデル(20~30m),ロングレンジモデル(~100m)があり,020年以降の実用化を目指している。
一方,独ZFはスキャナーメーカーの独IbeoからソリッドステートLiDARの供給を受ける予定だとして,モックを展示した。最大で200m先の物体を検出することができるとともに,解像度でも現行のメカニカルLiDARを大きく上回ることを目指した開発が行なわれている。ZFでは2021年の量産化を目指している。なお,Ibeoは仏ValeoがAudi A8に供給してるメカニカルスキャン方式のLiDAR「SCALA」の開発も行なっている。
独立系の開発メーカーの展示も見られた。カナダのPhantom intelligenceは,軍事用LiDAR技術を背景に持つ,安価なフラッシュLiDARの開発を行なうベンチャー。展示した製品は8×2の照射セグメントを持つタイプで,光源には70Wのレーザーダイオードを使用し,車外に設置した場合100~150m,車内(ウィンドウ内)に設置した場合に30mの検出が可能だという。
もともとはAEB(衝突軽減ブレーキ)向けの技術と発展させたものなので,ディテクタには安価(1$)なPIN PDを用いているが,受信信号にしきい値を設けずにノイズを含めたすべての信号を解析する手法により,高感度を実現している。他にも照射セグメントが7つのタイプもあるが,開発企業なので高解像化など顧客の要求する性能に応じたカスタマイズができる。また同社では現在,検出能力を200mに高めた製品も開発している。
同社の製品は韓国の自動車メーカーでの採用が決まっており,現在韓国にもオフィスを構えている。展示品の価格は7,000~8,000ドルで,SDKを含むキットは15,000ドルだとしている。
また,日立ハイテクは,同じくカナダのLeddarTechのフラッシュLiDAR製品を展示した。同社のLiDARは自動車に搭載するというよりも信号機に設置して交通量を把握したり,駐車場で車両の有無を確認するセンサーとして実績のあるもので,既存のパーツを活用することにより低価格化に成功している。光源には検出距離(40~120m)に応じてLEDとレーザーの両方のタイプがあり,照射セグメントも用途に合わせて1,8,16が用意されている。
Phantom intelligenceと同じく独自の波形処理を用いており,部品性能に影響されずにセンサーモジュールを設計できる。OEM向けの製品もラインナップしているので,ロボットや産業機器への組込み用途としても利用しやすい。
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