日本電気硝子は,赤外線を高効率で吸収しながら,可視光線域での透過率を世界最高水準に向上させたガラス材料の開発に成功し,受注を開始した(ニュースリリース)。
赤外線を高効率で吸収することで分光感度を人の目の感度に近づける赤外線吸収フィルターは,イメージセンサーの前に配置することにより撮影された映像や画像をより自然な色合いに見せることができ,スマートフォンやデジタルカメラ,監視カメラなどに広く使用されている。一方で,スマートフォンなどのモバイル機器に使用される薄型のフィルターにおいては可視光線域での透過率が低いため,十分な画質が得られないという課題があった。
今回同社が開発した赤外線吸収フィルターは,赤外線の吸収効率は維持しつつも,可視光線域での透過率が大幅に向上しており,イメージセンサーの画質向上に大きく貢献するもの。とりわけ,グローバルなボリュームゾーンであるスマートフォンカメラの汎用ガラス製フィルター(標準厚さ 0.21mm)において,競合製品を大きく上回る性能を発揮することができる,画期的な製品だとしている。
また同社は,この製品の約半分の厚さ(0.10mm)でありながら同等の赤外線吸収率を持つ製品を上市しているが,この0.10mm厚のフィルターにおいても可視光線域の透過率をさらに向上させることができた。スマートフォン用途として同じ厚さで競合する樹脂製フィルターと比較しても大幅に透過率が向上しており,モバイル機器のカメラの画質の向上やさらなる薄型化に貢献することが期待されるという。
製品寸法(標準品)は,77mm×77mm×0.21mm・0.10mm(厚さ)。これ以外のサイズについても対応可能。また,AR(反射防止)コートやIR(赤外線反射)コートも可能となっている。