大日本印刷(DNP)は,曲面加工性に優れ,自動車などの湾曲したリアウィンドウなどに最適な軽量の樹脂ガラスを開発した(ニュースリリース)。
近年世界各国で進められている自動車のCO2排出量規制の強化や電気自動車(EV)シフトに対応するため,自動車メーカー各社は車体の軽量化に取り組んでいる。こうした中,耐衝撃性や断熱性に優れ,ガラスよりも軽いポリカーボネートなどのプラスチック製の樹脂ガラスへの期待が高まっている。
同社は2016年2月,「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」を開発し,ポリカーボネートなどの樹脂の表面にハードコート層を転写して,太陽光や風雨等に対する耐候性と耐摩耗性を向上させる「樹脂ガラス」を開発した。2017年1月には,その転写フィルムを改良して曲面への追従性を高め,自動車のサンルーフなどの曲面形状にも使用可能な「曲面樹脂ガラス」を開発した。今回,その曲面加工性をさらに高め,ルーフスポイラーやテールランプカバーなどのデザイン性に富む機能部品を一体成形するリアウィンドウ等への展開を可能にした。
この製品は,最大で,半径30mmまでの曲げ加工が可能。「超耐候ハードコート層」を樹脂の表面に転写することで,耐候性と耐摩擦性を高めている。樹脂の押出しと同時にハードコート層を転写して曲げ加工を行なうため,曲げ加工を行なって成形した後にスプレー塗装などでハードコート層を形成する従来の方法と比べて,工程を簡略化でき,大サイズ化し易く,ハードコート層の均一性にも優れている。
重量は一般のガラスの約半分と軽量で,ガラスと同等の透明性を保持している。耐衝撃性が高く,一般のガラスと比べて割れにくいため,安全面でも優れているという。
同社はこの曲面樹脂ガラスを,自動車やバス,鉄道車両などのモビリティ用途に向けて販売し,2020年度に年間50億円の売上を目指すとしている。